東京五輪が23日、開幕する。「東洋の魔女」と呼ばれ、1964年の東京五輪女子バレーボールで金メダルに輝いた元日本代表の一人、半田(はんだ)(現姓・中島(なかじま))百合子(ゆりこ)さん(81)=宇都宮市出身、栃木女子高卒業、滋賀県高島市在住=は「純粋に楽しみたい」と待ちわびている。57年間の社会や女性を取り巻く環境の変化に深い感慨を抱きつつ、今大会エースとして出場する黒後愛(くろごあい)選手(23)=宇都宮市出身=に「最高の笑顔を見せて」とエールを送る。
金メダル獲得を伝える新聞記事を懐かしそうに見詰める。当時は「女性の幸せは結婚」とされた。結婚したら競技は辞めるものだった。五輪で女子のチーム競技はほとんどなく、指導者で残ったり働き続けたりする社会でもなかった。
引退後、大学で指導し、宝飾会社で定年まで働いた。今は女子スポーツも根付き、女性の社会進出も進んだ。
前回の東京五輪は、戦後復興とは切り離せなかった。自身の記憶は「戦時中が最初」。きょうだい5人。食べる物も少なかった。苦労する親の背中を見て育ち、地道な努力の大切さを身に染みて感じ、日本代表にたどり着いた。