「テレワーク疲れ」に警鐘、メンタルヘルスのケアにも注視を テレワーク実施率は約2割で推移

新型コロナ感染拡大防止のため、政府や地方自治体が推奨しているテレワーク。コロナ禍が長期化するなか、「テレワーク疲れ」が懸念される調査結果が明らかになった。

日本生産性本部は、組織で働く雇用者を対象に、所属組織に対する信頼度や雇用・働き方に対する考え方などについて、2020年5月以降、四半期ごとにアンケートによる意識調査を実施している。6回目となる今回の調査は、東京オリンピック・パラリンピック開催を目前に控え一都三県などで新型コロナ新規感染者数が増加傾向にあった7月5日から6日にかけて、日本の企業や団体に雇用されている20歳以上の1,100 名を対象に実施した。

 テレワーク実施率は、2020年7月調査以降変わらず約2割で推移している一方、テレワーカーの直近1週間における出勤日数は「0~2日」の割合が42.4%と過去最低となっており、オフィス回帰の傾向がみられた。

テレワーカーにオフィス回帰の傾向

 また、在宅勤務で効率が上がったとの回答が2020年5月の調査開始以降初めて減少に転じ、満足度やコロナ禍収束後のテレワーク継続意欲も微減したことから、オフィス回帰と合わせて「テレワーク疲れ」が懸念される結果となった。

 この傾向について、調査を担当した柿岡明・日本生産性本部上席研究員は「長期間のテレワークで身体的・精神的に疲れが溜まっているのではないか」と推測する。テレワークの課題である「部屋、机、椅子、照明など物理的環境の整備」は、調査開始以来常に4割以上を占めており、自宅のテレワーク環境整備は進んでいない。また、テレワークの労務管理上の課題として「孤独感や疎外感」を選ぶ割合が2021年1月調査以降増加傾向にある。メンタルヘルスのケアも含めて、今後の推移を注視する必要がある。

「孤独感や疎外感」を選ぶ割合は1月調査以来増加

 このほか、ポストコロナの変化に懐疑的な傾向やメンバーシップ型雇用とジョブ型雇用への希望なども調査した。調査の詳細は調査結果レポートに掲載されている。

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