日本列島ゆるゆる古墳ハント(27)登れる、石室に入れる、副葬品がすぐ近くで見られる、パーフェクトな古墳!群馬県高崎市「観音塚古墳」

「旅チャンネル」の企画で世界一周を2回経験した、古墳を愛するイラストレーター・マンガ家の水谷さるころが、これまで訪れた日本各地の古墳の魅力を紹介します。今回は、群馬県高崎市の「観音塚古墳」です。

※コロナ渦なので実際はマスクをしていますがマンガでは人物のマスクは省略しています

この連載、第24回で紹介したのは「綿貫観音山古墳」です。今回は「観音塚古墳」で、どちらも群馬県高崎市にある、国指定史跡の古墳です。ちなみに高崎駅からみて東側に7.5キロが綿貫観音山古墳で、西側へ8.5キロほどの距離にあるのが、今回の「観音塚古墳」です。

群馬歴史博物館で「え?観音山古墳に行くの?観音山古墳行くの?」と混乱していたら、学芸員さんが「どっちも高崎の古墳ですが、歴史博物館の近くにあるのは観音山古墳古墳です!」と教えてくれました(笑)。

歴戦の古墳通ならわかるかもしれませんが、なにせ我が家は「ゆるゆる」の古墳ハンターです。実際に行った今なら違いがわかりますが、行ってみるまではよくわからず・・・。みなさまもお気をつけて!

観音塚古墳

観音塚古墳は現状の墳丘長105m、高さ14mの前方後円墳です。築造は6世紀末〜7世紀初頭とされています。後円分よりも前方部が大きく、高さもあります(後円分部の高さは12m)。前方部が4段築造、後円分が3段築造であると考えられています。

1945年(昭和20年)の第二次世界大戦中、防空壕を掘るために掘削したところ石室が発見され、未盗掘であったために大量の副葬品が発見されました。1,000年以上前のご先祖様の石室に空襲から守ってもらうというエピソードにロマンを感じてしまいます。

観音塚古墳/石室入口

発見された副葬品は、1961年(昭和36年)に国の重要文化財に指定されています。観音山古墳も未盗掘で、副葬品がザクザク出てきて国宝に指定されていますが、高崎の古墳は、お宝がたくさんだな・・・!と思いました。私は、古墳は埋葬品よりも墳丘派なのですが、やっぱり空っぽの古墳よりは、未盗掘で副葬品が多い古墳へ行くと大変気分が盛り上がります。

観音塚古墳/石室内

観音塚古墳は石室を見学することができます。石室は両袖式(玄室へのトンネルが玄室の中央についているタイプ)の横穴式石室で、全長15.3m、玄室長7.1m、幅3.4m高さ2.8mとかなりの広さがあります。最大で10畳ほどの大きさの巨大な石を組み上げた挙式石室となっています。

観音塚考古資料館

中にあった副葬品は、すぐ近くにある観音塚考古資料館で見ることができます。我が家は借りませんでしたが、石室見学用に懐中電灯も貸してくれるそうです。重要文化財の銅鏡や金冠、装飾品。古墳の復元模型など充実の展示で、埋葬品派の息子も楽しんでいました。

やっぱり、古墳の近くでその古墳から出てきた埋葬品が見られるというのは古墳ツーリズムの醍醐味です。現地には埋葬品のレプリカしかなく、本物は東京国立博物館に収蔵されていて、しかも常設はしていないというのもよくあるので、現地の展示室で埋葬品が見られる古墳はオススメ度が高いです。

観音塚古墳/後円分墳頂から前方部を見たところ

観音塚古墳は「登れる」「石室に入れる」「副葬品がすぐ近くで見られる」と、古墳ハント的にパーフェクトな古墳です!

観音塚古墳がある八幡台地には、あと2つの古墳があります。平塚古墳(105m/5世紀後半)→八幡二子塚古墳(66m/6世紀前半)と、観音塚古墳よりも前の時代に作られたものです。考古資料館に車を止めて徒歩で行ける距離にあります。

八幡二子塚古墳

我が家は二子塚古墳のほうにだけ行きました。着いたのが夕方だったので、息子が疲れてしまい平塚古墳は断念・・・。子連れのゆるゆる古墳ハントは積み残しが多いですが、それも「また来る理由」として残しておくのもいいなと思っています。

そんなわけで、4回に渡る群馬の古墳紹介でした。積み残しばかりなので、ぜひまた群馬に古墳ハントへ行きたいです。

観音塚古墳

住所:群馬県高崎市

[All Photos by Mizutani salucoro]

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