【ソフトボール】「まさかコールドとは…」宇津木監督厳命“打力アップ”が奏功

4回裏にツーランを放った藤田

努力の成果が実った一戦となった。東京五輪の全競技に先駆けて女子ソフトボールがスタート。福島・あづま球場での開幕戦に登場した日本代表は、オーストラリア代表に8―1でコールド勝ち。3本塁打をマークするなど、進化した強力打線の裏には、宇津木麗華監督(58)の金メダルへの強い思いが隠されていた――。

過去に五輪が行われた4大会で、いずれもメダルを獲得しているオーストラリア代表。接戦が予想されたものの、1―1の3回裏に3番・内藤実穂(ビックカメラ高崎)が2点本塁打を放って勝ち越しに成功すると、4回裏にも〝二刀流〟藤田倭(同)の2点本塁打などでリードを広げる。さらに、5回裏には山本優(同)の2点本塁打で試合を決定づけた。

かつては機動力を武器に勝利を重ねた日本代表だが、金メダルを獲得した2008年の北京五輪後は、ライバル・米国の攻撃力に屈する場面が何度も見られた。当然、東京五輪で金メダルを取るためには、米国が一番の壁となるのは間違いない。

そこで、宇津木麗華監督は打力アップに着手。かつて「本塁打を打てないとやっぱり勝つのは難しい。細かい部分だけなら米国の方が全然足があるので」と両チームを比較した上で「本当に長打を打てる選手を育てていきたい。第1条件としては守備が上手い選手の中で、打撃を強化していくという考え」と明かしていた。

実際に、この日の試合では要所で好守備を披露し、相手投手の甘いボールを野手陣が一発で仕留める理想的な展開。ソフトボール関係者からも「まさかコールドで勝つと思わなかった」との声が漏れるほど、圧巻な試合運びだった。

13年の時を経て、生まれ変わったソフトジャパン。ライバルたちを返り討ちにし、再び世界の頂点をつかみ取ってみせる。

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