【侍ジャパン】鷹・千賀「五輪の初陣を飾るのにふさわしい人」ソフト上野の熱投に奮起

笑顔を見せるソフトバンク・千賀

復調を期す男にスイッチが入った――。東京五輪に臨む侍ジャパン強化合宿3日目(仙台)の21日、ソフトバンク・千賀滉大投手(28)がブルペン入り。76球を投げた右腕は「思っている以上に放れていると感じる部分もあった」と調整の手応えを語った。

自ら打席に立ってチェックした稲葉篤紀監督(48)は「力強い球を投げていた」と、状態が上向いてきた右腕にほっとした様子。「本人が『どこでも行きます』と言ってくれている。こちらとしてはありがたいし、準備もしっかりしてくれている。使い方も考えていきたい」と改めて信頼を寄せた。

千賀は左足首靱帯損傷を乗り越え、追加招集で代表入り。今月6日の一軍復帰戦で振るわず、二軍再調整を経て強化合宿に合流し、本来の姿を取り戻そうとしている最中だ。「とにかくこんな状態で稲葉監督に選んでいただいた。どんな役割でも、どんなところでも行ける準備をしていくだけ。(投げる役割は)特にどこがいいとか、そういう希望は一切ない」と言い切り、フル回転を誓う。

日の丸のために――。今一度そう思わせてくれたのは、尊敬するレジェンドだった。この日、東京五輪開会式にせんだって競技がスタートしたソフトボール。先発マウンドに立ち、チームを勝利に導いた上野由岐子投手(38)に大きな刺激を受けた。例年オフに合同自主トレを行う間柄で「エースの苦しみ」を語り合ったこともある特別な存在。競技の垣根を越えてアスリートとして深い尊敬の念を抱くレジェンドの投球に「オリンピックの初陣を飾るのにふさわしい人。改めてすごいという印象。日頃からプロフェッショナルな方なのでいい刺激になった」と、自らの出陣を前に勇気をもらった。

五輪を前に「逃げられない状態」と覚悟を持って合流した千賀。一世一代の舞台で戦う意義を再認識し、後悔のない準備をする。

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