【新型コロナ】都の新規感染者、増加比149% 専門家「2週間待たず危機的な状況に」

 都内の新型コロナウイルスの感染状況、医療提供体制などを評価する東京都のモニタリング会議が21日開催された。止まらない感染拡大に、出席した専門家は「2週間待たずに危機的状況になる」と極めて強い言葉で警告した。

「デルタ株への置き換わり急速に進む」

 会議ではまず20日までの感染状況の報告がなされ、感染拡大の度合いを示す増加比について、数値前回の会議で報告された数値(約131%)よりさらに上昇し、約149%となっていることが示された。このまま推移すれば8月3日には、その週の平均新規感染者数が2598人にも達するとされた。先週の同会議の報告では、8月11日の週で同等の数値になると予測されており、明らかに感染拡大が加速していることになる。報告した国立国際医療研究センターの大曲貴夫・国際感染症センター長は「増加比がさらに上昇すれば、2週間を待たず第3波をはるかに超える危機的な状況になる」と、先週よりもさらに強い言葉で警告した。また都で独自に調査している変異株のゲノム検査では、感染力がもっとも強いとされるデルタ株の検出率が30%を越えていることが判明しており、置き換わりも急速に進んでいることが示唆された。

若年層の入院、重症化率が悪化、高齢者の感染率下がる

会議資料より
会議資料より
会議資料より

 また会議では、これまでの感染拡大時と比べ、高齢者の感染者における割合、入院、重症化率がいずれも下がり、代わりに20代から50代までの層へ中心が移行していることがはっきりと示された。入院患者についてはすでに主な層が20代〜50代となり、重症患者については40代、50代が顕著に増え続けている。また、公開資料では示されなかったが、年代別の重症化率を今年1月の1ヵ月間と、6月30日から7月13日までの直近2週間で比較した場合、40代の重症化率は1.5倍、50代は2.4倍に悪化していると報告された。

 こうした状況について専門家は、高齢者に関する数値が改善しているのは明らかにワクチン接種が進んでいるからとし「全てのワクチン接種を希望する都民に、速やかにワクチン接種を行う体制強化が急務」と訴えた。また医療提供体制について、病床はまだ余裕があるものの、このまま新規陽性者数が急速に増加すれば「ひっ迫の危機に直面する」と明言。入院医療だけでなく宿泊及び自宅療養の危機管理体制の準備も急務だとしている。

© 合同会社ソシオタンク