医師志す元DeNA右腕が東海大医学部に合格 体重13キロ減も「初めて嬉し泣き」

元DeNA・寺田光輝さん【写真:本人提供】

東海大医学部の編入試験では英語が課題「1日最低5時間は勉強しました」

元DeNA投手の寺田光輝さんが、東海大医学部医学科の編入試験に合格した。例年240人ほどが受験して合格者はわずか15人。倍率16倍という狭き門を突破した。「自分1人では絶対に届かなかったと思います。いろんな人に支えてもらって合格を勝ち取ることができました。人生で初めて嬉し泣きしました」と喜んだ。

難関試験を猛勉強で突破した。試験科目は英語と適性試験。受験勉強を始めた昨年、大学入試センター試験・英語の過去問の正答率は6、7割ほどだった。「東海大の編入試験は、センター試験の英語で満点レベルにしないと勝負にならないと言われました。このままではやばいと。昨年10月から追い込みました。1日最低5時間は勉強しました」。地元の草野球チームへの参加も昨年末からストップ。受験勉強の時間にあてた。

試験のプレッシャーからか食事も取れなくなった。体重は現役引退時の74、75キロから62キロまで落ちた。「食欲がわかなくて。周りからすごい心配されました。アスリートの体型ではなくなりました」。過酷な生活を乗り越え、徐々に弱点を克服。6月27日の1次試験、7月10日の面接に合格した。郵送で知らされた合否。「(合否通知の封筒を持つ)手が震えてました。人生で一番緊張したかもしれません。合格した時は本当に信じられなかったです」。歓喜の涙になった。

新型コロナウイルスと闘う家族の存在も励みになった。父・晃さんは三重・伊勢市の「寺田クリニック」を開業。診療科目は内科・胃腸内科で、新型コロナウイルスとも闘っていた。「めちゃくちゃ忙しそうです。早く父のように自分も誰かを助ける仕事がしたい。身近で見てきた分、その思いは強くなりました」。古巣のDeNA情報のチェックは“日課”だった。「選手がどんな気持ちでやっているか分かっているつもり。なかなか勝てない中でも最善を尽くしていた。その姿を見て僕もやるしかないと思っていました」。球友の奮闘は刺激になった。

2011年ワールドシリーズを制したカージナルスのマーク・ハミルトンさんが医師に転身して活躍。日本人の元プロ野球選手が医師になれば史上初とみられる。今年10月から5年半の課程を修了し、国家試験に合格すると医師になれる。来年1月5日で30歳となるドクターの卵は、「一般の大学生よりいろんな世界を見てきた。背中で見せられるようにしたいです。(10月まで)苦手なところを勉強して準備しようと思います」。元プロ野球選手として新たな道を開いていく。(小谷真弥 / Masaya Kotani)

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