多くのお客に愛されていましたが、惜しまれつつ閉店したラーメン店が笠岡市にありました。
「らーめん おっつぁん」という店です。
そんな「らーめん おっつぁん」の店主からラーメンづくりを学んだ店が、福山市神辺の「らーめん つかもと (旧店名:二代目 らーめん おっつぁん)」です。
店主は、もともと「らーめん おっつぁん」の常連。
そして「らーめん おっつぁん」の閉店後、多くのかたに親しまれた味を残していくために店主のもとでの修業を決意し、店をオープンしたのです。
そんな「つかもと」について、開業の経緯やラーメンの特徴・こだわりなどについて紹介していきましょう。
2022年1月1日より、「二代目 らーめん おっつぁん」から「らーめん つかもと」に改名しました。
つかもとは福山市神辺町にあるラーメン店
つかもとは、福山市北部の神辺地区にあります。
国道182号線沿いにあり、ショッピングセンター「フジグラン神辺」のすぐ近くです。
もともと笠岡市十一番町に「らーめん おっつぁん」というラーメン店がありました。
地元の人に愛されていた店でしたが、残念ながら2020年(令和2年)8月に営業を終了。
しかし、おっつぁんの常連客で、店主とも親しかった塚本直樹(つかもと なおき)さんが一念発起。
おっつぁんの味を継承することに決め、脱サラしておっつぁんの店主から直にラーメンづくりの指導を受けます。
そして2021年(令和3年)5月、福山市神辺の地で「二代目 らーめん おっつぁん」としてオープンしたのです。
2022年1月には学んだ味を元にしながら自分らしさも加えていくため、現店名の「らーめん つかもと」に改称しました。
席はカウンターが8脚と、3人がけテーブル席が2卓です。
つかもとのメニュー
2023年(令和5年)1月時点の情報。価格は消費税込
らーめん おっつぁんでは、醤油スープのラーメンのほかに豚骨スープや、醤油と豚骨をブレンドしたスープのラーメンなどがありました。
つかもとでは、メインの醤油スープのラーメン一本に絞っています。
メニューにある「中華そば」が、醤油ラーメンです。
醤油スープの上に鶏チャーシューがトッピングされているのがポイント。
また鶏チャーシューではなく、豚肉のチャーシューが入る「チャーシュー麺」もあります。
さらには鶏・豚肉・牛肉の三種の肉が入る、豪華な「肉そば」も人気です。
そのほか、サイドメニューで「チャーハン」「高菜チャーハン」「餃子」などもありました。
ラーメンに使っている「とりチャーシュー」や、チャーハンに使っている「とりそぼろ」は持ち帰りもできます。
高菜や餃子・チャーハンも持ち帰り可能です。
おすすめメニューの紹介
つかもとのメニューのなかから、おすすめのものをピックアップして紹介します。
「中華そば」は”とりチャーシュー”が載った醤油ラーメン
「中華そば」(並 680円、大 800円)は、つかもとの看板メニュー。
“初代”おっつぁんの味を継承したラーメンです。
醤油ラーメンで、豚肉のチャーシューの代わりに「とりチャーシュー」が載っているのが特徴。
とりチャーシューは、いわゆるカシワ肉(廃鶏肉=卵を産まなくなったニワトリ)の煮鶏です。
ラーメンの特徴は笠岡市のご当地ラーメン「笠岡ラーメン」のようですが、店主・塚本さんは厳密には笠岡ラーメンとは違うと言います。
とりチャーシューは、コリコリとしたカシワ特有の歯ごたえのある食感。
噛むごとに鶏のうま味と甘辛い味付けが、口の中にチュルチュルと染み出てきます。
つかもとの中華そばは、サッパリとした後口のラーメンで、鶏のうまみが堪能できました。
「チャーハン」は”とりそぼろ”が味の決め手!
「チャーハン」(並 600円、大 870円)は人気のサイドメニューです。
実はチャーハンも、らーめん おっつぁんの味を継承したもの。
パラパラとしたチャーハンは、香ばしさとともにカシワの味わいが感じられて、とてもおいしかったです。
なお、チャーハンは中華そばと半チャーハンの「ラーメンセット」(中華そばorチャーシュー麺 プラス300円)として注文されるかたが多いそう。
半チャーハンでも十分なボリュームがあると感じました。
「チャーシューメン」は豚のチャーシューがたくさん載っているのが特徴
中華そばのほかに「チャーシュー麺」(並 880円、大 1,000円)もあります。
中華そばの上にはとりチャーシューが載っていましたが、チャーシュー麺には豚肉のチャーシューが載るのが特徴です。
甘い味付けがよく染みていて、赤身と脂身のバランスのよい、おいしいチャーシューでした。
鶏肉よりも豚肉がいいという場合、チャーシュー麺がおすすめです。
「肉そば」は鶏・豚・牛肉の豪華全部載せ!
「肉そば」(並 800円、大 920円)は、豪華なラーメンです。
スープは基本の中華そばと同じ醬油スープで、その上に三種の肉がトッピングされています。
牛肉には甘辛い味付けシッカリと染み込んでいます。
牛肉の甘い味わいがスープに染み出してきて、スープの甘辛い醤油味と一体となり、何ともいえないおいしい味わいを楽しめます。
肉そばは「おっつぁん」から学んだ味をつかもと独自に進化させた、つかもとらしいラーメンといえるでしょう。
人気店・らーめん おっつぁんの味を継承する決意をし、修業を経てオープンした、らーめん つかもと。
店主の塚本直樹(つかもと なおき)さんにインタビューをしました。
つかもとの店主・塚本 直樹さんにインタビュー
人気店・らーめん おっつぁんの味を継承する決意をし、修業を経てオープンしたらーめん つかもと。
店主の塚本直樹(つかもと なおき)さんに味を継承することになった経緯、味のこだわり、今後の展望などの話を聞きました。
インタビューは2021年7月の初回取材時に行った内容を掲載しています。
「多くのかたに親しまれた味をなくしたくない」という思いで一念発起
──なぜ、らーめん おっつぁんの味を継承しようと思った?
塚本(敬称略)──
もともと私が「らーめん おっつぁん」の常連で、店主の伊藤芳秋(いとう よしあき)さんと親しかったんです。
かつて私は製麺会社の営業をしていまして、仕事で「おっつぁん」を訪れたのがキッカケでした。
「おっつぁん」のラーメンの味が大好きになったのと、店主と意気投合したことで、たびたび店に訪れるようになったんです。
「おっつぁん」は2000年代前半の開業以降、地元・笠岡を中心に多くのお客さんに親しまれてきました。
しかし、2020年(令和2年)8月に「おっつぁん」は営業を終了することになったんです。
店の片付けを手伝っていたんですが、だんだんと「多くのかたに親しまれた味をなくしたくない」という気持ちが芽生えてきました。
そして脱サラして「おっつぁん」の味を学んで、店をしようと決意したんです。
おっつぁん店主からラーメンづくりを直伝してもらう
──味を引き継ぐ決意をして、店をオープンするまでの経緯は?
塚本──
まず伊藤さんに店の味を学んで、店を開業したいという思いを伝えました。
すると快諾してくれたんです。
それから伊藤さんの自宅の厨房で、伊藤さんから直にラーメンづくりを教わりました。
ラーメン店はもちろん、飲食店で働いたこともなかったので、大変でしたね。
そして2021年(令和3年)5月3日、神辺の地で店をオープンできました。
「おっつぁん」に秘めた思い
──「おっつぁん」という店名の由来は聞いている?
塚本──
伊藤さんは、開業前から名前を「おっつぁん」にすると決めていたそうです。
開業時の年齢が「おっつぁん(おじさん)」と呼ばれる年齢だったという理由と、親しみやすい店を目指したいという理由で「おっつぁん」と名付けたと聞きました。
奇遇にも、伊藤さんがおっつぁんを開業した年齢と、私が二代目おっつぁん(現:つかもと)を開業した年齢が同じなんです。
何か運命めいたものを感じますね。
──おっつぁんの店があった笠岡ではなく福山、しかも神辺を選んだのは?
塚本──
ひとつは私が福山出身だったから、福山になじみがあったので。
もうひとつの理由は、探していた物件のなかで、現在のところが立地的によかったからなんです。
これは、私が製麺業者の営業をしていた経験が生きましたね。
こだわりはスープととりチャーシュー、親しみやすいスタッフ
──店のこだわりや特徴を教えてほしい。
塚本──
やはり一番は、中華そばのスープですね。
醤油味のスープですが、鶏ガラをベースに魚介・果実・野菜からダシをとっています。
毎日深夜から作業を始め、長時間煮込んで深みのある味わいに仕上げているんです!
あとは中華そばの上に載っているとりチャーシュー。
岡山県産のカシワ肉を、毎日醤油ダレでしっかり煮てつくっています。
チャーハンに入れているとりそぼろも自慢です。
とりチャーシューもとりそぼろも持ち帰りができますので、ご家庭でもぜひ!
あとは明るい笑顔のスタッフと、気さくでノリのいい店主がいることですかね(笑)。
親しみやすい店を目指していますので、性別年齢関係なく幅広いかたに来ていただければと思います。
今後の展望
──今後の展望や目標があれば聞きたい。
塚本──
ありがたいことに、開業以来たくさんのお客様に来ていただいています。
らーめん おっつぁんのファンのかたがわざわざ笠岡からも訪れたりもしていて、とてもうれしいです。
しかし、伊藤さんに味を直伝していただいてオープンしたといっても、まだまだ勉強中だと思っています。
これからも味の修練を続け、初代「おっつぁん」から学んだ味を元に、さらに進化させていくのが目標ですね。
初代らーめん おっつぁんから学んだ味を元に進化させていく「らーめん つかもと」
笠岡にあった「らーめん おっつぁん」は私も行ったことがあり、好きなラーメン店のひとつでした。
ですから、閉店を聞いたときは驚きました。
そんなおっつぁんの味を継承する店が神辺でオープンしたと聞き、うれしく思います。
常連客だった塚本さんが、好きなラーメンの味を残したいとの思いで開業を決意した「らーめん つかもと」。
多くのお客さんが、つかもとの味を求め訪れています。
幹線道路沿いでアクセスもよいので、ぜひ食べに行ってみてください。