ファミリー層に人気の「トヨタ シエンタ」は、介護現場やタクシーなど、街の“はたらくクルマ”としても支持を集めていた!

「トヨタ シエンタ」は、若いファミリー層を中心に支持を集めるコンパクトミニバンだが、近年別の分野からも注目を集めているのをご存知だろうか。それは“はたらくクルマ”。コンパクトで扱いやすいサイズから、介護福祉の現場やタクシー車両としても人気を集めているというのだ。

トヨタ シエンタ FUNBASE G ハイブリッド(2列シート車)[2018年9月マイナーチェンジ]

ガソリンモデルで180万円台から! コンパクトで扱いやすい人気のミニバン「シエンタ」

トヨタのミニバン「シエンタ」は、2015年登場の現行型で2代目。初代アクアなどのコンパクトカープラットフォームをベースに誕生した。全長4.3メートル弱というコンパクトなサイズの中に3列シートレイアウトを巧みに配置。使い勝手が良い後席左右のスライドドアも備えている。

ガソリンモデルで180万円台から、ハイブリッドモデルで220万円台からという低価格と相まって、若いファミリー層を中心に根強い支持を集めるモデルだ。

介護福祉の現場でもシエンタのコンパクトなサイズが重宝されていた

トヨタ シエンタの福祉車両「車いす仕様車」

またトヨタ シエンタは、扱いやすいボディサイズが支持され、車いす仕様車の福祉車両やタクシー車両のベースとしても密かに支持を集めているのをご存知だろうか。

福祉車両のシエンタは、コンパクトサイズながらリクライニング車いすの乗車も可能な構造。後部のスロープから乗り降りする仕組みだ。トヨタによると、2020年度(2020年4月~2021年3月)のシエンタ 車いす仕様車(スロープタイプ)の販売台数は1844台を記録した。

ちなみに、車いす仕様車で最も売れている1BOXタイプの「トヨタ ハイエース」車いす仕様車(リフトタイプ)は、同期間に4012台を販売しており、シエンタの車いす仕様車はその半数に迫る好調な売れ行きを示している。

ハイエースでは入るのが難しい狭い路地裏でもぐんぐん進めるシエンタ

以前に介護福祉施設で働く方に話を伺ったところ、古い住宅街などではハイエースが入っていけない狭い路地も多く、シエンタが重宝しているのだと教えてくれた。

また、介護福祉に従事し始めたばかりの新人スタッフは運転に慣れていないケースも多く、いきなり大きなハイエースよりも、小型の福祉車両から入っていくのだという。

東京を中心に普及が進むJPN TAXIのベースはシエンタだった! 価格の安いシエンタに注目する地方の事業者も

東京2020に合わせ都内では急速に台数が増えたトヨタ JPN TAXI(ジャパンタクシー)

東京2020こと東京オリンピック・パラリンピックの開幕に合わせ、東京ではタクシーの一斉取替が進んだ。すっかりおなじみになったトヨタの「JPN TAXI(ジャパンタクシー)」である。車両本体価格は333万8500円から356万4000円(消費税込)と、ちょっとした高級車並みの価格であるが、東京都心では代替の助成金が支給されたことで一気に普及が進んだ。

いっぽうで、地方のタクシー会社では、従来のクラウンセダンよりも100万円以上も高いことから、思いのほか代替が進んでいないのが現状だ。

地方都市でタクシーキャブとして支持を集め始めているシエンタ, 写真は5人乗り仕様の室内
地方都市でタクシーキャブとして支持を集め始めているシエンタ, 写真は5人乗り仕様の室内

実はJPN TAXIのベースとなったのが、トヨタ シエンタのハイブリッドモデルだった。シエンタなら、5人乗り仕様のハイブリッドモデルで220万円台から設定がある。そのためいま、地方ではシエンタをタクシーのベース車に用いるケースが増えている。

後席スライドドアという仕様はJPN TAXIと同じ。室内の広さ、足元空間や頭上の高さではJPN TAXIにはかなわないが、従来のクラウンセダンに比べれば雲泥の差であることから、利用者からも支持を集めている。地方都市の駅前や空港などのターミナルでは今後、シエンタタクシーの台数がどんどん増えていくだろう。

[筆者:MOTA(モータ)編集部 トクダ トオル/撮影:TOYOTA・MOTA編集部]

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