【最後は夫婦2人】老後を見据えて…育児も趣味も一緒に経験したい 松本夫妻の場合 #共働き夫婦のセブンルール

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世の共働き夫婦は、どう家事を分担して、どんな方針で育児をしているんだろう。うまくこなしている夫婦にインタビューして、その秘訣を探りたい。そんな想いから、今回の企画はスタートした。それぞれの家庭のルールやこだわりを7つにまとめ、その夫婦の価値観を紐解いていく。第6回目は5歳と1歳の男の子のパパとママである松本夫妻のお話。

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【左】松本博之さん(仮名/42歳/IT系/デザイナー) 【右】松本真尋さん(仮名/43歳/出版/編集)

同い年カップルの松本夫妻が結婚したのは37歳のころ。婚活で知り合ったという。

「『もうずっと1人なのかな』とあきらめかけたときに夫と出会って、人生のタッグを組むパートナーができたのが本当にうれしかったんです。これから2人で、ずっと肩を組んでいきたいと思いました」と真尋さん。

その言葉通り、夫と博之さんとはお互いを気遣う、穏やかな夫婦関係を続けている。

真尋さんは38歳で長男(現在4歳)を、41歳で次男(現在1歳)を出産。現在はWeb編集の仕事に復職して時短勤務中だ。

私も高齢出産をしたからわかる。産後は体力的にもかなりつらかったことだろう。そんな夫婦が、これまでどんな想いで、どんなルールのもとに日々の生活を回してきたのか、聞いてみた。

7ルール-1 育児を一緒に経験して親になる

実は夫婦から事前に聞いたひとつめのルールは、ここに挙げている「育児を一緒に経験して親になる」ではなく、「ルールは決め過ぎず柔軟に」だった。

「ガチガチにルールを決めてしまうと、窮屈になると思うんですよ。だから、うちではできるほうがやる。保育園で子どもが熱を出して迎えに行くようなときにも、僕が行けるときは行きますし、妻に行ってもらうこともあります」(博之さん)

しかし、これには大前提がある。

博之さんは次男が生まれた後、1ヶ月の育休を取得した。次男は生まれてすぐ総合病院での入院治療が必要となったため(今はすっかり元気な子だ)、無痛分娩後に3日で退院した真尋さんが母乳を届けに病院に行っている間、博之さんが上の子の面倒を見たり、家事を共有したりと、忙しい日々を送った。

「次男が退院したあとも、24時間ずっと気を張る新生児育児をするなかで、大人が2人いると全然違うなと思いました。あの1ヶ月を共有して、夫との戦友感がグッと強まった気がします」(真尋さん)

一方で、「1人目のときは妻が里帰りしたこともあって、新生児期の夜があんなに大変だとは思わなかったですね。交代で、僕も夜中に起きてミルクをあげましたが、あれを毎日、毎晩ひとりでやるのは無理だと思います」と博之さん。

育休中、キッチンにベビーバスを入れて次男の沐浴をする博之さん。カウンターには沐浴後に飲ませるミルクも用意してあり、すっかり手慣れた様子だ。

育児を一緒に経験して、一緒に親になっているから、ルールがなくても柔軟に連携プレーができるということのようだ。

真尋さんが今、特に助かっているのは、朝晩の皿洗いを博之さんが担当していること。

「最近の寝かしつけは、子どもが『ママじゃないと嫌』という時期に入っているので、食後の皿洗いを気にせずベッドに行けるのはすごく助かります。朝と夕方は子どもの身の回りの世話で忙しいから、皿洗いまで手が回らないんですよね」(真尋さん)

実は、真尋さんは育休中から「私、家事はあまり好きじゃないんだよね。特にお皿は洗ってもらえるといいな~」と、さりげなく言い続けて、博之さんの意識に刷り込んでいったそう。

「そうだっけ? まあ、ルーチンになってしまえば苦ではないんですよ」と博之さん。真尋さん、作戦成功していますね!

7ルール-2 お互いの趣味は容認! むしろ巻き込まれよう

松本夫婦が経験を共有しているのは、育児だけではない。真尋さんは博之さんの趣味のクルマやスニーカーの話題にもしっかりついていくし、真尋さんは妊娠中に好きな声優のライブに博之さんを連れて行ったこともある。

「そもそもお互いに漫画好きだったことで親しくなったんです。好きなものはやめられないとわかっているので、夫が趣味のスニーカーを買うときでも、べらぼうに高いものでなければOKということにしています(笑)」(真尋さん)

大人気バスケ漫画『スラムダンク』がきっかけでバッシュ好きからスニーカー好きになったという、博之さんのコレクションの一部。現在は全部で30足ほどを所有しているという。家族でお揃いのスニーカーを履くこともあるんだとか。

「声優のライブに一緒に行ったとき、妻はキャーキャーと目を輝かせていて(笑)。妻の新たな一面を知れて、僕自身も楽しくなれたんです」(博之さん)

真尋さんの声優グッズコレクション。「下の子がまだ小さかったり、コロナ禍だったりすることもあって、最近はイベントに行けてないんですが、また夫婦で行きたいです!」(真尋さん)

自分も経験することで、その魅力や何にどのくらいの時間やお金がかかるのかということも理解できる。「人生を一緒に」という夫婦の強い想いが、このルールにも表れていると感じた。

7ルール-3 年に1回は旅行、キャンプは4回

旅行も真尋さんの趣味のひとつだ。出張以外であまり旅行をすることがなかった博之さんも、家族で沖縄に行ってから旅行が好きになったという。

さらに、年に4回は楽しんでいるのが家族キャンプ。真尋さんが最初にキャンプ動画や道具のリサーチにハマり、長男が1歳半のときからキャンプに出かけるようになった。

松本家のキャンプ用品。ひときわ存在感を放っていた黄色と赤のイグルーのウォータージャグ(飲料タンク)は、注ぎ口をより使いやすいものにするために、真尋さんが蛇口タイプにカスタムしたんだそう!

「私たちにとって、子どもと過ごす時間もひとつの趣味のような楽しいもの。それなら、家族で一緒に新しい趣味をはじめてみたいと思ったんです。そのうち子どもたちがテントを立ててくれるようになったらいいですね」(真尋さん)

真尋さんが見せてくれたキャンプ中の写真。自宅でざく切りにした野菜などを持参し、鍋を作ろうとしているところだそう。真尋さんは「散らかっているので、あまりお見せできるような写真じゃないんですけど……」と謙遜していたけど、写真だけでもキャンプのワクワク感が十分に伝わってくる。

博之さんも、趣味のクルマで遠出をする目的ができて満足とのこと。趣味に対して、とても柔軟で行動力のある家族だ。

7ルール-4 お金の出入りはすべてオープン!

多趣味な松本夫婦には、それぞれの趣味にかけるお金がある。それを毎回、相手に確認したり、お小遣い制にしたりするのは面倒だが、お構いなしというわけにもいかない。そこで夫婦が活用しているのが、スマートフォンの家計簿アプリ。夫婦は『マネーフォワード』というアプリを使用していて、夫婦共有のアカウントでお互いの入出金が確認できる。

「それぞれの口座を登録しておけば、購入はほとんどクレジットカードなので簡単に管理ができます。楽天やAmazonで買ったものも店名ではなく項目で入るようになっていますし、食費にはスーパー名が出るので、あとから何にどれだけ使ったか確認できるんですよ」(真尋さん)

お金について意識し始めたのは、子どもが生まれてから。「将来、子どもに迷惑をかけないように」と、教育資金だけでなく老後資金も真剣に考えるようになった。

「私が『つみたてNISAが気になるな……』と言っていたら、すぐに夫が調べて口座開設してくれました。そういうことにはすごく行動が速い人なんですよね」(真尋さん)

「結婚が遅かったせいもあって、お金のことはよく話すよね。ファイナンシャルプランナーに依頼して、ライフプランを何度か作ってもらっているしね」(博之さん)

お金のことも、どちらか任せではなく、夫婦一緒に考えている。松本家では「一緒に」が自然と徹底されているようだ。

7ルール-5 日常的なスキンシップをルーチンにする

「これはちょっと、お話するのは恥ずかしいのですが……」と真尋さん。新婚当時から夫婦の間で「行ってきます」の軽いキスが習慣となっていて、「ここまできたら外国人のように、ルーチンとして続けよう」と今でも継続しているそうだ。

いやいや、恥ずかしいことないですよ! うちも新婚当時はしていましたよ。でも、子どもたちが産まれて余裕がなくなり、いつの間にか「行ってきますのチュー」もしなくなり……。今さら習慣を取り戻すことは気恥ずかしくてできないけれど、それもちょっと残念なような。

忙しいからこそ、スキンシップをルールにするのは、夫婦関係を良好に保つためにとてもいいことなのではないだろうか。

「育休中から僕が出勤するときだけの習慣になり、妻が先に家を出るときはお互いに忘れることも多くて、まあ適当ですけどね」と、ちょっと照れ臭そうな博之さん。

「でもね、育児も楽しいし大切ですが、最後に残るのは夫婦2人だと思っているので。私はずっと大切にしていきたいです」(真尋さん)

ごもっとも。育児と仕事で多忙真っ盛りのとき、このことに気づいてしっかり行動に移しているのは、スゴイ。私もまったく同年代でありながら、大人だな、と感じた。

7ルール-6 【夫】子どもの都合から先に考える

夫婦がお互いの趣味を認める松本家では、子どももひとりの個人。だからこそ、「子どもの個性は大切にしたい」と博之さんは言う。

「親が“習い事はこれをしてほしい”と思うものとかではなくても、子どもが興味を持ったらまずはやらせてあげたいですね。体験入学だけでもよくて、嫌になったら途中でやめちゃってもいいと思っています」(博之さん)

今長男は、体験に行って気に入った幼稚園の体操教室に通っている。「発表会に行ったら、長男が鉄棒でクルクル回っていてびっくりしました。得意なことが見つかって、本人もうれしいみたいです」と真尋さん。

博之さんもこう付け足してくれた。「長男がサメにはまってた時期があって、葛西臨海公園の水族園に2週連続で行ったことがありましたね。コロナの影響で閉まっていた時期もあったんですが、再開してからもすぐに行ったりして。そのほかにも、ウルトラマンが大好きで、生で見せてあげたくて、いろいろなイベントをひたすら探して見に行ったこともありました」

松本夫妻の自宅は、水族館に決して近い場所とは言えない。2週連続なんて、近所でなければなかなか通えない距離だ。それだけに、“子どもの好き”を応援する博之さんの行動力には驚かされた。そして、家族であっても同じ趣味や考えでなくてもいい。夫婦にも、子どもにも多様性を尊重することが、仲良し家族の秘訣なのだろう。

7ルール-7 【妻】「ありがとう」は意識して伝える

あっという間に夫婦歴は5年。「甘えが出てくるころ」だと真尋さんは言う。

「やってもらって当たり前にならないように、洗い物をしてもらった、洗濯を畳んでくれた、という些細なことでも、『ありがとう』を言うようにしています」(真尋さん)

尊い……!

ただ、博之さんは「そうだったんだ!? 僕も言うようにしないとな……」と照れ笑いだ。

「まあね、最初のルールで言ったけど、そういうことって、がんじがらめのルールにすることでもないでしょ。私が『ありがとう』を言っているのを見て、自然に夫や子どもたちも言うようになってくれたらな、と思っていますが、なかなかうまくはいかない(笑)」(真尋さん)

家事も誰かひとりがやるのではなく、子どもたちを含めて家族みんなが自主的に何かを担当するようになるのが真尋さんの理想。我が家を考えると実現のハードルは高そうだが、皿洗いの担当をスムーズに博之さんに移行させた真尋さんの手腕を見ると、松本家なら可能かもしれない。

彼らの7ルールを一言で言うと……?

松本夫婦の話で特に印象に残ったのは、「最後は夫婦2人」と「多様性」だ。そしてこの2つは、すべてのルールに共通する、松本家の軸だといえる。

子どもが巣立ったあと、夫婦2人の生活になる将来が見えているから、育児と仕事で多忙なときもお互いを尊重し、スキンシップも大切にできる。当たり前だけど、私を含め未就学児を育てている多くの夫婦が「夫婦2人の未来」にまで考えが及ばないケースが多いだろう。そんな未来を、松本夫婦は楽しみにしているようでもある。それはとても健全で、あたたかく、そんな両親と趣味のキャンプを楽しむ子どもたちにも良い影響を与えるに違いない。

多様性を尊重するからこそ、相手の趣味も一緒に楽しむというのも、なかなかできることではないだろう。あるいはこの両軸はつながっていて、お互いを生涯のパートナーとして心から大切にしているからこそ、違いを認めながら理解し合えるのかもしれない。

あとはやっぱり、大人なんだよなぁ。家事に育児に仕事に、と忙しくても、俯瞰して冷静な判断ができているから、皆が穏やかでいられる。趣味を楽しむことで、息抜きや気分転換ができているせいもあるだろう。時間の見つけ方も上手いのだろうと思うし、お互いの趣味(と育児)に理解があるから、趣味に時間を使うことも容認できる。

実際は多忙で時間が取れず、平日のランチ休憩中にお昼を食べながらオンライン取材に応じていただいた。そんな慌ただしいなかでも、笑顔で話を聞かせてくださって、感謝です。

(取材・文:中島 理恵、撮影:梅沢 香織、イラスト:二階堂 ちはる)