【ソフトボール】鉄腕・上野由技子「39歳をリアルに感じた」本音ポロリも後輩から刺激

連投の上野由岐子

負けん気の強さは健在だ。東京五輪の1次リーグが22日、福島県営あづま球場で行われ、日本はメキシコに対戦。2日連続で先発した上野由岐子(ビックカメラ高崎)は6回までに10奪三振の力投を見せたが、2―1の7回に同点打を浴び、無念の降板。しかし、若き左腕・後藤希友(トヨタ自動車)が好救援で流れを引き寄せると、延長8回に守備職人・渥美万奈(同)がサヨナラ打を放ち、3―2で勝利した。

「体がいっぱいいっぱい。39歳をリアルに感じた」。試合後の取材で、上野の口から思わず本音がこぼれ落ちた。

〝伝説の413球〟で日本を金メダルに導いた北京五輪から約13年。「若い時のように、寝たらすぐ治るというのはない」。当たり前のように連投ができたのは以前の話。30代を過ぎてからは、ヒザのケガや肉離れ、あごの骨折など、度重なる故障とも戦ってきた。

前日のオーストラリア戦でも先発した上野。39歳の誕生日を迎えたこの日も「アイシングも食事もサプリメントもやれることはすべてやった」と最善を尽くした上で、先発マウンドへ上がった。

当然疲れはあるはずで「ちょっと飛ばしすぎたかな」と話したが、序盤から圧巻の投球を披露。最後まで投げ切ることはできなかったものの、2失点にまとめたのはさすがの実力だ。

後藤にピンチの場面でマウンドを譲ったことについては「自分の体は限界で、期待に応える以上に体が持たなかった。先輩としてもっといい形でバトンタッチしたかった」と悔しさをにじませたが、頼れる後輩の活躍はチームにとって大きなプラスだ。

後藤の投球に大きな刺激を受けた。「若い時の自分を思い出す。イケイケゴーゴーというか、全球全力みたいなものを感じた」。鉄腕とはいえ、13年前とはやはり体が衰えているのが事実。ただ、現状に満足することなく、一歩ずつ道を切り開く姿はやはりレジェンドだった。

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