【侍ジャパン】異例大会へ 〝コロナ離脱者〟想定シミュレーションは「超綿密」

練習でコーチの指示を聞く侍ジャパン野手陣

侍ジャパンが強化合宿以降、常に神経をとがらせていなくてはならないのが新型コロナウイルス対策だ。

野球は団体競技ゆえ誰か1人の感染が明らかになると、周囲の陽性判定者が出る可能性が常にある。実際にチームの外出規則を順守していたにもかかわらず、シーズン中でも広島で集団感染が起こるなど、いつ、いかなるときでも「油断できない」のが今回の五輪なのだ。

そんなこともあり、侍首脳陣はこれまでの会議等で首脳陣や選手、スタッフに「コロナ関連で離脱者が出た場合」の想定アクションも議論してきたという。

選手についてはリザーブも含めた選手間でのやり繰り中心となるのはシーズン中と同様だが、指揮系統については限られた人員のなかで工夫を施した。稲葉監督も含めた6人の首脳陣の間で各担当部門の〝代行の代行〟まで割り当てを想定し、綿密なシミュレーションも重ねてきたという。

「例えば三塁ベースコーチの清水コーチが出られなくなった場合は誰が三塁コーチを務めるのか? その代役コーチも出られなくなった場合の代役は誰か? とかまで、危機管理はかなり二重にも三重にも煮つめてやってきた」

実際に代表ではヘッドコーチの金子コーチは所属する日本ハムで、井端守備走塁コーチも、侍ジャパンとして本番のテスト采配を行った昨オフのフェニックス・リーグで三塁ベースコーチに立つなど、コーチも時と場合に応じて複数部門を担当する準備を整えた。

今大会は競技規則において、定期的に実施する検査で「5人以上の陽性者が出た場合は敗退」となるほか、開幕前に検査を行い、参加6チームのなかで出場辞退するチームが出た際は残りチームでの「総当たり戦」と大会のレギュレーションまで変更になる可能性さえある異例の運営方式。「起こり得る事態はあらゆる面から想定し、できる限りの準備は考えてきたつもり」。仮に不測の事態が起こっても侍首脳陣は慌てず騒がず〝鉄仮面〟を貫くつもりだ。

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