学びたい子どもを後押し 美里町、中3対象に無料学習塾 教育環境の不利益解消へ

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美里町が今月から始めた公営塾。生徒たちは真剣な表情で英語のテストに取り組んでいた=同町

 熊本県美里町は今月、中央、砥用両中の3年生を対象に、町が運営する無料学習塾を開講した。子どもの学力向上を町が支えようと初めて取り組んだ。経済的理由で、遠方の民間学習塾には通えないといった教育環境のハンディを補う狙いがある。

 「今日から単語テストを始めます」「ええー」。9日夕、中央中そばの町総合体育館の研修室で開かれた公営塾には、同校の生徒21人が集まった。講師は熊本大教育学部の学生が務め、教室は和気あいあいとした雰囲気に包まれていた。

 公営塾は放課後、町総合体育館と砥用中の武道場で各週2回開講。教科は英語と数学をそれぞれ50分間ずつ教える。一人一人の進み具合に対応するため、講師の学生は2人1組で指導に当たる。

 町内には民間の学習塾がなく、遠方の塾に通うには家庭の経済的負担が大きい。町出身で、中学教師として10年以上町内の学校に勤めた経験がある吉永公力教育長(68)は「もっと勉強をしたいという子どもたちの姿をずっと見ていて、何とか後押ししたいと考えてきた」と振り返る。

 最前列で受講していた中央中の田川明寛さんは「塾に行きたかった。集中できるし充実している」とにっこり。狩野光香さんは「先生が明るくて教え方も分かりやすい」と話す。

 教える大学生にとっても、指導経験を積むことができる貴重な場となりつつあるようだ。熊本大教育学部4年の菊川華菜さん(21)は「教師を目指しており、学校に近い環境で教えられるところがないか探していた」と喜ぶ。

 町は本年度、講師への謝金など公営塾の運営費として約240万円の予算を組んだ。上田泰弘町長(46)は「公営塾をきっかけに、自発的に学ぶ姿勢を身に付けてほしい。来年度も続けていきたい」と力を込める。(飛松佐和子)