「健康なら急ぐ必要ない」 子どものワクチン接種 長崎大学病院・森内教授

オンラインの研修会で講師を務めた長崎大学病院の森内教授

 長崎県は22日、12~18歳の子どもへの新型コロナウイルスワクチン接種についてオンラインで研修会を開いた。県内各地の小児科医や養護教諭、自治体のワクチン接種担当者ら約240人が参加。講師を務めた長崎大学病院の森内浩幸教授は「健康な子どもであれば急ぐ必要はない」と話した。
 森内教授は日本ワクチン学会と日本小児科学会の理事。健康な子どもにとって新型コロナは一般的な風邪とほぼ同じで、英国では18歳未満の感染者のうち、集中治療室(ICU)に入院したのは5万人に1人の割合、死者は100万人のうち2人だけという事例を紹介した。
 また「健康な子どもへのワクチン接種は、もっと安全性のデータが蓄積されるまで待っておいた方がいい」とする英国予防接種合同委員会の声明も紹介。森内教授は「日本でも同じ考えでいいのではないか」と話した。
 まとめとして▽健康な子どもであれば急ぐ必要はない▽まずは子どもに関わる大人たちが接種を▽医療的ケア児のような重症化リスクの高い子どもは主治医と相談して接種を▽子どもへの接種はかかりつけ医による個別接種が望ましい-とした。ただ、特別支援学校などのように、日ごろから本人、保護者、教職員、医療従事者の連携が取れている場合は集団接種が望ましい場合もあると指摘した。
 参加した県立高校の養護教諭は新型コロナワクチンとインフルエンザワクチンの接種時期の注意点を質問。森内教授は、コロナワクチン接種後にほかのワクチンを打つ場合は2週間以上空けるようにという国の方針があると説明した。
 長崎新聞社の取材では県内21市町の約半数が子どもへの接種について慎重姿勢。24日から12~15歳の接種を予定していた島原市は22日、延期を決めた。
 研修会の動画は近く県のホームページで公開される予定。


© 株式会社長崎新聞社