【東京五輪】江の島沖の風、位置取り争い…  あせない記憶、後輩の健闘願うセーリング前回代表

後輩セーラーたちにエールを送る吉田さん=横浜市南区

 東京五輪のセーリング競技は、25日から神奈川県藤沢市の江の島沖で繰り広げられる。1964年に東京で開かれた前回大会、日本代表として出場した吉田正雄さん(88)=横浜市南区。同じ江の島会場で情熱を燃やした当時を思い返しながら、後輩セーラーたちの健闘を願っている。

 セーリングと出合ったのは、日大高校(横浜市港北区)に通っていた時。近所の知人が所有するヨットに乗ったことがきっかけだった。

 大海原で風を切る魅力にとりつかれ、日大進学後から本格的に競技生活をスタート。実業団の名門として知られた巴工業(本社東京)に入社し、3人乗りの5.5メートル級で東京五輪に出場した。

 半世紀以上たっても記憶は色あせず、日本選手団への助言があふれ出す。

 「あそこの海は決まっているんだよ。夏の江の島沖は南から風が来る。でも、ちょっと天候が崩れれば北に戻る。それが頭に入っていれば大丈夫」

 そう言ってうなずくと、「あとは顔だな」とニヤリ。スタート前の激しい位置取りは「怖い顔をして、ぶつかりそうになった相手をけん制するんだ」と、今度は豪快に笑った。

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