五輪選手団主将「山縣」選手、なぜ「山県」? 新聞の新字体表記に戸惑い

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陸上男子100㍍の日本新記録を報じる新聞紙面。熊日は「山県」、地元の中国新聞は「山縣」と表記している

 東京五輪日本選手団主将で、陸上男子100メートルの日本記録保持者、山県亮太選手の名前の漢字表記を巡り、「『山縣』の間違いではないのか」との指摘が熊本日日新聞(熊日)などに相次いでいる。新聞各紙は「山県」が主流な一方、NHKなどテレビは「山縣」を使っており、読者や視聴者を戸惑わせているようだ。

 陸上男子100メートルの日本新記録を報じた各社の6月7日付の紙面は、熊日のほか全国紙やブロック紙も「山県」がずらり。ただ出身地の広島県に本社を置く中国新聞は「山縣」だった。

 同選手の場合、「山縣」が本来の漢字だが、新聞表記が「山県」となるのは、新聞用字用語集「記者ハンドブック」等の基準に沿っているためだ。基準では、人名の字体は常用漢字であれば原則、旧字体ではなく新字体を使うのが決まり。このため旧字体の「縣」でなく、「県」で表記している。

 例外として「嶌・嶋」と「島」、「淵」と「渕」など16字種17字体は使い分ける。「長嶋茂雄」などが一例。本人や家族が強く望んだ場合も旧字体を使うことができるとしている。

 記事を配信した共同通信社の校閲部は「『県』は例外対象に該当しておらず、山県選手本人からの要望もないため、原則通りに表記している」と話す。

 熊日も原則、この基準に準じてはいるが、県関係者の名前は本人が普段使用している漢字を尊重し「山縣」を用いることも少なくない。また県出身で五輪メダリストの陸上選手、末續慎吾さんの場合、共同通信は「末続」だが、熊日は旧字体の「末續」を使っている。

 「山県」選手が出場する陸上男子100メートルは31日夜から予選が始まる予定。活躍ぶりに目が離せない一方で、「県」と「縣」の違いが気になる人も増えそうだ。(和田毅)