天皇陛下が五輪開会宣言 熟考に熟考を重ねた「文言」とギリギリまで調整された「出席」

手を振る天皇陛下(左)とバッハ会長

天皇陛下が国立競技場で23日行われた東京五輪の開会式に出席し、「私はここに第32回近代オリンピアードを記念する東京大会の開会を宣言します」と開会宣言した。

天皇陛下は東京五輪・パラリンピックの名誉総裁も務めており、五輪憲章で開会宣言は、開催国の国家元首が読み上げると規定している。

宣言の文言を巡っては、宮内庁と組織委の間で調整され、当初は「第32回近代オリンピアードを祝い、東京大会の開会を宣言します」を予定していたが、コロナ禍に考慮し、「祝い」の部分が「記念」に変更された。

また当初、天皇陛下は開会式を欠席し、オンラインでの参加も検討されていた。先月末の記者会見で、西村泰彦宮内庁長官は「五輪・パラリンピックの開催が、感染拡大につながらないかご懸念されている、ご心配であると拝察をいたします」と発言し、波紋を呼んだ。

コロナ禍は収まらず、緊急事態宣言下での無観客開催が決定。天皇陛下は2回目のワクチン接種をまだ受けていないことも欠席説に拍車をかけたこともあった。

結局、水面下での折衝は続き、天皇陛下の開会式参加が発表されたのは開会式3日前の20日。皇后雅子さまや他の皇族はコロナ対策で同席を見合わすことや大会中に天皇陛下が各競技を会場で観戦しないことも発表された。

ほかにも天皇陛下の開会宣言を巡っては、立憲民主党の川内博史政調会長代行が21日にツイッターで「陛下が開会式で『大会の中止』を宣言されるしか、最早止める手立ては無い」と投稿し、「天皇の政治利用だ」との批判を浴び、投稿を削除する騒動もあった。

© 株式会社東京スポーツ新聞社