「キラキラしてカッコいい」 侍ジャパンの最年少・平良が“金ミット”を持ち込んだ訳

金色のキャッチャーミットでキャッチボールをする侍ジャパン・平良海馬【写真:荒川祐史】

39試合連続無失点を達成した“ミスター0”「0点に抑えて帰ってくるだけ」

東京五輪に臨む野球日本代表「侍ジャパン」で、西武・平良海馬投手はヤクルト・村上とともにチーム最年少の21歳。今月19日から仙台市の楽天生命パーク宮城で行われた強化合宿では、並みいる超一流の先輩たちの練習法に興味津々で、吸収できるものはどんどん吸収している。

28日に迫る東京五輪野球競技開幕については「試合になってみないとわからない。今のところ楽しく、あまり緊張せずにやっています」とあっけらかんとしたものだが、日々の練習では「普段見られないことを間近で見られて、聞けて、毎日勉強になっています。楽しいです」と笑顔が絶えない。

特に目を奪われたのが、侍ジャパンのエース格、オリックス・山本由伸投手の練習法だった。槍投げの練習器具を使った独特のトレーニングを目の当たりにして、早速教えを乞い、プラスチック製で先端にゴムが付いた練習器具を実際に投げさせてもらった。「力ではなく、良いポイントで槍を放すことが大事。面白いと思いました」とうなずく。

もともとプロ1年目のオフに、西武からメジャーへ移籍した菊池雄星投手に弟子入りし自主トレに参加。その後も、球速やボールの回転数、回転軸などを計測する簡易型トラッキングシステム「ラプソード」を自費購入するなど、研究心が非常に高い。そんな平良にとって侍ジャパンの合宿は宝の山かもしれない。

「何人歩かせてもいいので絶対に0で帰ってきたい」

今季ペナントレースでは、藤川球児氏(元阪神)が保持していた日本記録を更新する「39試合連続無失点」を達成。チームでの役割も従来のセットアッパーから、5月に不振で2軍落ちした増田に代わりクローザーへ昇格した。侍ジャパンでの役割は未定だが、「いずれにしても1イニングを投げることになるので、0点に抑えて帰ってくるだけだと思います。(四球で)何人歩かせてもいいので絶対に0で帰ってきたい」と語ったあたりは“ミスター0”の矜持だろう。

一方で、金色の特製キャッチャーミットを強化合宿に持ち込み、キャッチボールで使用。「金メダルの金です。金メダルを目指して頑張ります。キラキラしてカッコイイです」と照れながら説明する。なぜキャッチャーミットなのかというと「(侍ジャパンの)ピッチャーの球は速いので、手が痛くならないように」。なんともユニークな感性である。

どんな環境でも揺るがないマイペース。侍ジャパン招集後、「早速忘れ物とかしていた」と西武の同僚でもある源田らをハラハラさせているが、ペントレース同様慌てず騒がず、相手を一刀両断してくれそうだ。

【写真】ビカビカ金色の特注キャッチャーミットで練習する侍ジャパン・平良海馬の様子

ビカビカ金色の特注キャッチャーミットで練習する侍ジャパン・平良海馬の様子【写真:荒川祐史】 signature

(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

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