小浜 1点差制す 投打の柱 中野が躍動 第103回全国高校野球長崎大会 第11日

【準々決勝、長崎西―小浜】5回裏小浜2死一、二塁、中野が左前に適時打を放つ=県営ビッグNスタジアム

 地方の県立校を支える、まさに大黒柱と言えるだろう。小浜のエース中野が2回戦の無安打無得点試合、3回戦の89球完投に続いてマウンドを守り抜き、チームを33年ぶりの夏4強へ導いた。「監督から、仲間のために投げろと言われた」。3安打の打撃を含めて、有言実行の活躍だった。
 春、NHK杯はともに準V。2大会で12試合計100回を投げて、その体力と技術、そして覚悟を明確に示して高校最後の夏を迎えた。生命線は低めを中心にした制球。この日も3回戦に続く無四球で、相手の残塁は1だけと、とにかく余計な走者を出さなかった。
 「直球が良かった」と振り返った通り、変化球を狙われていると感じればコースを力で押した。ポーカーフェースだが、自らのバットで3点目を挙げて迎えた終盤は随所で気迫の声も出た。
 これで1988年の初出場から遠ざかっている甲子園まで、あと2勝。74年10月に軟式から硬式に転向した当初から指揮を執る74歳の溝田監督はヒーローの活躍をたたえて、穏やかにおどけた。「今季は公式戦を20試合もやれている。いつもの何年分。今大会も深酒をせずに2週間。もう満足ですよ、私は本当に」
 そして、こう続けた。「あいどん(選手)が、どげん思って次を戦うのか。準決勝と思うのか、1回戦と思ってやれるのか。知らないおじさんやおばさんも含めて、地元からこんだけ応援されているんだから」-。
 次は春、NHK杯ともに決勝で敗れた長崎商との雪辱戦。もう負けたくはない。ここで勝てばいい。

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