〈なおえつうみまちアート〉作家紹介〈1〉 船見公園海岸周辺会場 自然から新しい発見を 「そらのみなと」(空間演出研究所)

 「なおえつ うみまちアート」は上越市直江津地区の4会場に現代アート作品を展示する。会期は市民向け前日祭の31日から9月26日まで。出展する現代アート作家は8組。キュレーター(学芸員)の鈴木潤子さんに各作家を紹介してもらう。

 初めて直江津を訪れた昨年の7月、沈みゆく夕日に照らされて、空と海と自分自身が燃えるような色に包まれ、その体験に魅了されました。この地に暮らした先人たちが目にした森羅万象と、それを美しいと感じる人の心を、より多くの方と共有することができる壮大な新作を発表するのは、空間演出研究所です。

船見公園の海岸に作品が展示される

 空間演出研究所は、東京藝術大デザイン科第3研究室(鈴木太朗准教授)のメンバーを中心に、社会に対してアートやデザインのチカラで空間を豊かにしていこうと活動を開始しました。国内外で繊細かつダイナミックなプロジェクトや作品を数多く手掛けています。今回のメンバーは、所長の西毅徳、金森由晃、土田恭平、中山ゆめお、武藤琴音、山田彩七光、鈴木太朗の7人。

 見慣れた景色だからこそ意識しないと見落としてしまう、美しい直江津、日本海。波打ち際に設置された99個の受け皿に、波の満ち引きによってすくい取られた海水は、海と同じ面を保ち、鏡面のように空の色を映します。そこに映される空は、毎日、毎時間、毎分、毎秒ごとに、一つとして同じものはありません。壮大な空をあえて小さく切り取り一つ一つ海ですくうことで、目の前に広がる雄大な自然の存在を感じながら、新たな発見が私たちの中に生まれる、そんなアート作品です。

空間演出研究所

 空間演出研究所は、東京藝術大デザイン科第3研究室のメンバーを中心に、2016年末に活動を開始。代表は東京藝術大博士課程の西毅徳、所長は同大デザイン科准教授の鈴木太朗。私たちの望む表現の夢を、フレームに収まることなく社会に対して仕掛けていきます。

 【鈴木潤子さんプロフィル】

鈴木潤子さん

 時事通信社、森美術館、日本科学未来館で約20年間勤務。2011年に独立し、これまでの経験を生かした個人事務所@Jを設立。無印良品有楽町店のギャラリースペースATELIER MUJI、19年4月にオープンした無印良品銀座6F ATELIER MUJI GINZAでシニアキュレーターとして10年間で50件以上の展覧会とその関連イベントを企画運営した。アートやデザインを中心に、幅広い分野でキュレーションやPR、文化施設の立ち上げや運営に携わる。

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