【柔道】銀メダル・渡名喜風南 優勝逃すも抜群の人間力「柔道の衣を脱いでも戦える」

今大会の日本選手メダル第1号となった渡名喜

東京五輪の柔道女子48キロ級(24日、東京・日本武道館)に出場した渡名喜風南(25=パーク24)は、決勝でディストリア・クラスニチ(コソボ)に敗れ、銀メダルに終わったが、柔道関係者からは「本当に魅力的な人」との声が聞かれている。

準決勝で2018年、19年世界選手権決勝で敗れたダリア・ビロディド(ウクライナ)に勝利を収めたものの、決勝では一瞬のスキを突かれて敗戦。試合直後のインタビューでは「自分の弱さが出た試合です。しっかりこの負けを自分の中で確かめていきたい」と号泣したものの、メダリスト会見では周りを思う渡名喜の優しさが垣間見えた。

目標の金メダル獲得とはならなかったが、海外メディアから「日本人メダリスト第一号」となったことに関する質問が飛んだ。すると、渡名喜は「銀メダルではあるが、メダルを取るのと取らないのでは違う。そういう意味では日本の初日としていいスタートが切れたかなと思う」と無念さを押し殺しながらも、仲間たちを思いやる言葉を寄せた。

ある柔道関係者は「柔道家だが『人としてちゃんとしたい』『ちゃんとありたい』って思いが強い。読書家ですし、ちゃんと自分を客観的に見ている」と明かした上で「言葉遣いでも分かると思うが、本当にちゃんとしているし、そこら辺は社会に出ても柔道の衣を脱いでも戦える」と絶賛していた。

当然、本人はこの結果に満足していない。「しっかりこの負けを自分の中で確かめていきたい」。次なる舞台へ、この悔しさは必ずいつか晴らしてみせる。

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