社説(7/25):男性の育児休業/取得しやすい環境づくりを

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 男性が育児休業を取りやすくする改正育児・介護休業法が先の国会で成立した。子どもが生まれて8週間以内に計4週分の休みを取れる「出生時育児休業(男性版産休)」が新設された。来春からは企業に、従業員に育休取得を働き掛ける義務が課せられる。
 中小を中心に代替要員の確保に悩む企業は多いが、法改正を機に、男性が今まで以上に育児に積極的に関わることができるようにしなければならない。休みを取得しやすい環境づくりが急がれる。
 男性版産休は、2週間前までに申請すれば取得でき、労使の合意があれば期間中の就労も可能だ。来秋の施行が見込まれる。
 併せて、男女を問わず、1歳までに育休を2回に分割して取れるようになる。要件を満たせば、1歳以降もさらに分割ができる。男性版産休と併用すれば、男性は1歳までに計4回の育休が取得可能になる。
 働き掛けの義務化に違反した場合は労働局による指導や勧告の対象となる。従わないなど悪質な事例は社名を公表できる。従業員が1000人超の企業には、2023年4月から男性の育休取得率を毎年公表するよう義務付ける。
 厚生労働省の調査によると、男性の育休取得率は19年度で7.48%にとどまる。政府は25年に30%にまで引き上げる目標を掲げているが、達成は難しいのが実情だ。
 男性の育休取得が進まない要因の一つに、休みを取りづらい職場の雰囲気や上司らの無理解がある。育児は女性の役割という固定観念は依然として根強い。
 厚労省の昨年10月の調査では、育休制度などを利用しようとした男性の約26%が職場で嫌がらせを受けていた。そのうち4割近くは育休の取得を諦めていた。中小企業の場合、嫌がらせ防止は現在、努力義務になっているが、来年4月には義務化される。
 男性の育休取得を促すためには、意識改革とともに、職場の環境整備が重要となる。育休を取得する人の業務を分担する際に、無駄を見直して仕事量を減らすことができれば、効率化やコスト削減につながる。
 「男性育休100%」を掲げるなど、男性の育休取得に力を入れる企業は増えつつある。部下の取得状況を上司の人事評価に反映させている例もある。
 こうした企業の中には、採用応募者が増えた一方で離職者が減ったところもある。企業のイメージアップにつながるだけでなく、優秀な人材を確保する点でもメリットがあるという。
 男性が子育てのために休みを取りやすい仕組みが整っている職場は、育児以外の事情を抱える人にとっても働きやすい環境と言えよう。企業には、育児だけでなく、多様な働き方を認める取り組みがより一層求められる。