大橋悠依が金メダル 競泳女子 極度の貧血、乗り越えた壁 「まだ夢みたい」滋賀県出身

競泳の大橋悠依選手

   東京五輪の競泳女子400メートル個人メドレー決勝が25日、東京アクアティクスセンターで行われ、滋賀県彦根市出身の大橋悠依(イトマン東進、草津東高―東洋大出)が4分32秒08で優勝し、今大会の競泳全体で日本勢初となる金メダルを獲得した。

 大橋は伸びやかな泳ぎで3種目目の平泳ぎで先頭に立った。さらに最後の自由形で後続との差を広げて逃げ切った。

 レース後、「不安もあったが、とにかく自分を信じてあげようと思った。自分が金メダルを取れるなんて本当に思ってなかった。ここにチャレンジさせてもらって感謝です。いろんな方が支えてくれた。やってきたことは間違ってなかった。すごい楽しいレースができた。まだ夢みたいです」と涙を流しながら喜びを語った。(記録は速報値)

 走ることも、球技も苦手だった三姉妹の末っ子は彦根市のスイミングスクールで基礎を築いた。全国では無名だったが、草津東高卒業までに100メートル背泳ぎや200メートル平泳ぎなど4種目で滋賀県記録を樹立。腕全体で水をつかむ技術と、力に頼らない大きな泳ぎは異彩を放った。北島康介さんらを育てた平井伯昌・日本代表ヘッドコーチの目に留まり、目指す景色が変わった。

 だが、順風満帆ではなかった。極度の貧血やけがに悩み、大学2年で挑んだ日本選手権は予選最下位。宿舎から会場へ移動できないほど落ち込み、「体も気持ちもしんどかった」と水泳をやめることも考えた。

 10代から活躍するトップスイマーも多い競泳界で才能が花開いたのは21歳。初出場の世界選手権200メートル個人メドレーで日本新記録を樹立し、銀メダルを獲得。一躍、脚光を浴びた。

◇おおはし・ゆい 2017年の世界選手権200メートル個人メドレーで日本記録を更新し銀メダルを獲得。400メートル個人メドレーは18年の日本選手権で日本新をマーク、19年世界選手権で銅メダル。174センチ、57キロ。25歳。滋賀県彦根市出身。

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