住民調査の懸念指摘 馬奈木弁護士 土地規制法で講演

 【東京】自衛隊や米軍基地の周辺、国境離島など政府が安全保障上重要だとする土地の利用を調査、規制する「土地利用規制法」の勉強会が23日、東京都内で開かれた。講演した馬奈木厳太郎弁護士は、同法が基地被害に苦しむ周辺住民を「犯罪を起こすかもしれないからと調査するものだ」と指摘した。

 調査の対象区域指定に当たり、国が意見を聞くことになる自治体が「どういう態度をとるかが大事だ」と語り、首長や地方議会議員に意見を伝える必要性を訴えた。

 馬奈木氏は、土地所有者の「関係者」と判断されれば調査対象になり得るとし、法律に基づく調査の範囲や内容に制約がないと問題視した。

 また、国の申し出による土地の買い取り規定を「事実上の土地収用につながりかねない」と批判。所有者は国の申し出を拒否できるものの、国が買い取りを申し出ること自体が「プレッシャーになる」とした。

 国会の付帯決議では土地収用の検討が盛り込まれた。馬奈木氏は先の大戦の反省から国防目的の土地収用をできないこととした戦後の土地収用法の歴史に触れ「歴史の積み上げを分からない人たちに法律を書いてほしくない」と話した。

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