<レスリング>2021年東京オリンピック/男子フリースタイル86kg級展望(8月4・5日実施)

 

《エントリー選手》

《第1シード》ハッサン・ヤズダニチャラティ(イラン)、《第2シード》ディーパック・プニア(インド)、《第3シード》マイリー・アミン(サンマリノ)、《第4シード》アルトゥール・ナイフォノフ(ロシア)


ハッサン・ヤズダニチャラティ(左)を2度破っているデービッド・テーラー(米国)。3度目はあるか?=2018年世界選手権

 2016年リオデジャネイロ・オリンピック74kg級王者のハッサン・ヤズダニチャラティ(イラン)が2階級制覇に挑む。階級を上げたばかりの2017年のワールドカップと、2018年世界選手権で、ともにデービッド・テーラー(米国)に敗れているが、2017・19年世界選手権を制し、階級アップの壁はこなしている。

 コロナ禍明けは、今年4月のアジア選手権で優勝と実力をキープしている。ただ、2019年世界選手権はテーラーが負傷欠場した中での優勝だった。テーラーへの苦手意識が残っているか。

 2018年に世界一に輝いているテーラーは、ひざの負傷で手術を受け、2019年世界選手権を欠場した。翌年3月のパンアメリカン予選を勝ち抜いてオリンピックのマットに立つ。日本になじみの深いペンシルベニア州立大時代の2012・14年に全米学生選手権で優勝。リオデジャネイロ大会はジョーダン・バローズの壁に阻まれて出場を逃し、階級を上げて世界一にたどりついた。オリンピック王者を手にできるか。

 両者に対抗できる実力を持つのは、2019年世界選手権3位のアルトゥール・ナイフォノフ(ロシア)だろう。2020・21年欧州選手権優勝。2019年世界選手権はヤズダニチャラティに互角の内容で進んだあとフォール負けしている。リベンジしての優勝を目指すことになろう。

 第4シードなので、対戦するとしたら準決勝。このブロックに、ノーシードのテーラーが入れば、反対ブロックはかなり楽なブロックとなる。

米国育ちのサンマリノ選手、マイリー・アミン=2019年世界選手権

 第2シードは2019年世界選手権2位のディーパック・プニア(インド)、第3シードは同5位のマイリー・アミン(サンマリノ)プニアは、2020年アジア選手権では山田修太郎(山梨学院大)が破っており、第2シードとはいえ、ヤズダニチャラティテーラーに比べると見劣りはする。

 アミンは米国のミシガン大でレスリングをやっており、全米学生(NCAA)選手権は3度銅メダルを獲得。母方の祖父がサンマリノ国籍であり、サンマリノ国籍を選んで同国から初のオリンピック出場を果たした。欧州選手権で2020年2位、2021年3位とコンスタントに上位に食い込む力を見せている。

 高谷惣亮は、86kg級へ上げた直後の2019年3月のワールドカップで前年世界2位のトルコ選手を破るなど、新階級でも地力を発揮している。イラン、ロシア、米国に続く集団には入っているだはず。予選を勝ち抜いた経験でワンランク上に行っているか。


高谷惣亮の主な強豪選手との対戦成績

Lin, Zushen(中国)

2021年 東京オリンピック・アジア予選 ● 7-8 ○ Lin, Zushen

Amin, Myley Nazem (サンマリノ)

2019年 世界選手権 ● 2-5 ○ Amin, Myley Nazem

 

 

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