長期化するコロナ禍で働く人の意識はどう変わった?~第5回働く人の意識調査~

公益財団法人日本生産性本部は2021年4月22日、新型コロナウイルス感染症が組織で働く人の意識に及ぼす影響の継続調査(第5回「働く人の意識調査」)結果を取りまとめ、公表しました。
コロナ禍の長期化を視野に、日々の暮らしや働き方、組織の業務内容や運営形態などが見直され、その影響は社会・経済の仕組みや人々の意識・価値観の変化にまで及んでいます。
今回は、前回の2021年1月調査時とくらべ、コロナ禍で働く人々の意識はどのように変化しているか、わかりやすく解説します。

勤め先への信頼感

本調査では業績・雇用・収入への不安感、勤め先への信頼の程度等を質問しています。
新型コロナウイルスの影響で、勤め先の業績(売上高や利益等)に不安を感じているかどうかを質問したところ、「かなり不安を感じる」は15.0%と前回調査の20.2%とくらべ減少しています。
他の選択肢については前回の調査との間に差はなく、雇用不安の様相は前回の調査時点とくらべて大きな変化はありませんでした。
このように雇用者が感じている各種の不安感は前回の調査と比較して大きな変化はありませんでしたが、勤め先の業績について「かなり不安を感じる」がやや減少したこと、また、業務量の増減がマイナスからプラスに転じたことから企業の事業活動が一部で回復しつつあると考えられます。

時差出勤やテレワークなど、柔軟な働き方

新型コロナウイルス感染防止対策として「3密」(密集、密閉、密接)を避けるため、時差出勤やテレワークの積極的な活用が推奨されています。
テレワークの実施率は、前回の調査時の22.0%から19.2%へと減少しています。
テレワークの大多数を占める在宅勤務について効率の向上を質問したところ、59.1%が「効率が上がった」と回答しており、前回の調査の54.5%から増加しています。
また、自宅での勤務の満足度を質問したところ、75.7%が「満足」と回答しています。
現在は、テレワークを行いやすい雇用者が在宅と出勤のバランスを取りながら柔軟に安定した勤務を続けていると推測されています。
さらに、自身がコロナウイルスに感染する不安感はやや減っており、不要・不急の外出自粛も多くの年代で後退しているようです。
その中で企業にできる感染防止策は、人の移動・接触をできるだけ少なくすることであり、そのためにはやはりテレワークの推進が必要です。

コロナ収束後の働き方や生活様式の未来像

新型コロナウイルス問題が収束した後の働き方や生活様式について、変化は起こり得るのか、可能性を質問しました。
今回の調査の結果を見ると、「起こり得ない」と変化の可能性を否定する割合が、前回の調査と比較して減少した項目が多くありました。
具体的には、「業務の要不要の見直し」「時間管理の柔軟化」「決裁方法のデジタル化」「Web会議の普及」「対面営業の縮小」「教育研修制度の見直し」「都会から地方への移住」「Web会議を利用した懇親会・飲み会の普及」の8項目です。
一方で、「起こり得る」「どちらかと言えば起こり得る」については、割合が増加した項目はなく、いわゆるニューノーマル到来の可能性を肯定する意見が多くなったわけではないですが、強く否定する意見は、明らかに減少しています。
テレワークを実践した雇用者は、新しい働き方や生活様式への変化の可能性を肯定する傾向が強くあるようなので、コロナ収束後も新たな働き方や生活様式の可能性を広げていくのではないでしょうか。

<参考>
・ 公益財団法人日本生産性本部「第5回働く人の意識調査」

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