佐世保育ちの東京五輪タイ代表 柔道・深見 最高の舞台で戦い抜いた

佐世保市育ちの柔道女子タイ代表、深見利佐子(中央)。3姉妹で国際大会に出場してきた

 25日、柔道女子52キロ級タイ代表として東京五輪に出場した深見利佐子(27)=筑波大大学院、長崎県佐世保市出身=。父がタイ人、母が日本人のタイ名「ウォラシーハ・ガチャコーン」は、3姉妹で目指してきた世界最高の舞台で堂々と戦い抜いた。父のウォラシーハ・タウィシットさん(55)、母の留弓子さん(54)ら家族は、長女の勇姿をライブ配信で見守った。
 大学時代に柔道をしていた父の影響を受け、6歳から佐世保柔道協会少年部で競技を始めた。妹たちも姉の背中を追い、3姉妹で頑張ってきた。佐世保市立白南風小時代の休日は、夏も冬も学校の運動場でトレーニングに励んだ。市立山澄中時代は週末に強豪の世知原へ出稽古に。父は時に叱(しか)り、時に褒めながら、娘たちに寄り添い続けた。
 「勉強も大切」という父の教えで、高校は3人とも県立佐世保西高に進学。長女は個人で出場したインターハイ前の勉強合宿も普通に参加した。休憩時間にホテルの前の道を走るなど、文武両道を貫いた。姉の姿を見習うように、妹たちも大学院まで進んだ。
 タイ代表を志すきっかけは、父のタイの柔道関係者とのつながり。「タイの選考会に出させてもらえないか」。話は進み、3人そろっての挑戦が決まった。金曜の夜の便でバンコクへたち、土曜朝に着いて試合をして、日曜に日本に帰る強行軍。3人は力を合わせて夢を追ってきた。
 3人は2018年ジャカルタ・アジア大会など国際大会にも出場した。だが、次女の由利子さん(24)はけが、三女の明香利さん(23)は減量に悩まされ、3姉妹そろっての五輪出場はできなかった。それでも、三女は「普段は明るく陽気な姉だけど、学問との両立を図りながら、ストイックに練習を続けていた。姉の大きな夢がかなってうれしい」と喜んだ。次女は「タイの柔道レベルの底上げにつながるとうれしい。私もパリを目指して頑張りたい」と力をもらった様子だった。
 残念ながら、長女は初戦で敗れた。でも、母は娘の奮闘に心からの拍手を送った。「彼女の努力や運やタイミングが重なってビッグチャンスを手にできた。たくさんの方々に応援していただき、感謝の気持ちでいっぱい。自分の力は出し切ったと思います」

© 株式会社長崎新聞社