長崎商 6回に勝ち越し 厳しい展開 しのぎ切る 第103回全国高校野球長崎大会 第12日

【準決勝、長崎商―小浜】6回表長崎商1死三塁、宮城が右前に勝ち越し適時打を放ち、雄たけびを上げる=県営ビッグNスタジアム

 春とNHK杯の決勝に続き、小浜の挑戦を三たび退けた長崎商。九回は2死満塁まで攻められる厳しい展開をしのいだ。準々決勝までの2試合連続サヨナラ勝ちを含め、夏を勝ち抜く上で避けられない苦戦をものにしているチームに、西口監督は「最後の最後の魂のぶつかり合いを感じながら、次へ次へといけている」と言葉をかみしめた。
 今季は部内競争が激しく、毎試合のように打順を微修正してきた。雪辱に燃える小浜のエースは低めへ抜群の制球を誇る中野。相性を踏まえて5番以降を組み替え、狙い球のゾーンを上げながら積極的に振っていった。
 それらが決まったのが1-1の六回。5番に起用されて2打席連続安打を放っていた城戸が逆方向の右翼線へ鋭くスライスする三塁打を放つと、4番も打てる宮城が右前へ引っ張って勝ち越し。「追い込まれたら厳しいピッチャーなので」(宮城)と、ともに打者有利のカウントを逃さなかった。さらに初球をはじき返した古木の右越え2点三塁打で突き放した。
 守備も「同学年でここまで(エースを)競り合う年はない」と西口監督が手応えを感じる城戸、田村のダブルエースが3試合連続で継投。大坪の三塁線の好捕などバックも今大会いまだ無失策で支えた。九回2死満塁は田村の外角高めいっぱいへの渾(こん)身の直球で見逃し三振に。捕手でも両右腕をリードした古木は「攻める気持ちが結果につながった」と胸を張った。
 あと一つ。最大の敵が待つ中、古木は「相手は自分」と言い切り、宮城も「やってきたことを信じて全力でやるだけ」と完全燃焼での5年ぶりVを誓った。


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