【U―24】久保建英が大舞台で輝ける秘訣は〝コミュ力〟 恩師が明かす才覚と特殊能力

2試合連続の決勝ゴールを決めた久保建英(ロイター)

森保ジャパンで絶好調のMF久保建英(20=レアル・マドリード)を支える〝タケ流コミュニケーション術〟が明かされた。サッカー男子日本代表は25日、東京五輪1次リーグA組第2戦のメキシコ戦(埼スタ)で2―1と開幕2連勝を飾り、決勝トーナメント進出へ王手をかけた。久保は2試合連続決勝ゴールと大活躍したが、〝コミュ力〟が大舞台でも勝負強さを発揮できる秘訣でもあるという。

また久保が決めた。前半6分、MF堂安律(23=PSVアイントホーフェン)が右サイドの突破から中央へクロスを上げると、絶妙なタイミングで走り込んだ久保が左足でゴールに突き刺した。会心の一撃を久保は「狙い通りの形で、堂安選手が左手で相手を抑えたときにもう自分のところにボールを出してくれると思ったので、走り込んであとは落ち着いて決めるだけだった」。まさに、あうんの呼吸から生まれたゴールだった。

2試合連続決勝ゴールと勝負強さを発揮する久保を森保一監督(52)も大絶賛。「試合を決定づける大きな仕事をしてくれている。攻撃が特徴の選手だが、ハードワークをしてチームのために走ってくれて守備にも頑張っている」。さらに「世界と同じ目線で戦うことを、仲間ととともにチームを引っ張って実践している」とピッチ内外での貢献を高く評価した。

あふれる才能を大舞台でいかんなく発揮できている要因の一つは、コミュニケーション能力の高さにある。FC東京時代の恩師にあたる福井哲氏(66=城西国際大サッカー部監督)は「コミュニケーション能力は本当にたけている。各カテゴリーの代表に選ばれてきた中で、自分の立ち位置をよく分かっていて、状況によって行動を変えられる。懐に入っていくのがうまい。良い意味で人を見て動く。それは賢さであって才能だと思う。それができなくてうまく溶け込めず力を発揮できない選手たちもいるわけだから。(周囲を)〝見る力〟だと思う」と久保の〝特殊能力〟を説明する。

久保は今大会のメンバーでフィールドプレーヤーの最年少。ともすれば萎縮してしまいがちだが、久保は年上の選手たちの中でもすぐに溶け込み、信頼を得て、いつの間にか輪の中心にいるような人を引きつける魅力があるのだ。具体的には「頭がいいし、幅広く会話ができる。サッカー以外のことにも興味を持って、情報をきちんと把握して、それをうまくサッカーに絡めて発信することもできる」と福井氏。引き出しの多い会話術は海外で磨かれた部分もあるだろうが、持って生まれた才覚でもあるだろう。

1次リーグ最終戦のフランス戦(横浜)へ向けて久保は「次の試合もしっかり勝って、3戦全勝で1次リーグを突破したい」と力強く宣言。すんなり仲間と打ち解けられる力でチーム内の揺るぎない地位を確立していた〝日本の至宝〟は今後も存分に実力を発揮してくれそうだ。

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