小崎登明さんの遺影公開 国立長崎原爆死没者追悼平和祈念館 記念トークセッション 思い出語り合う

在りし日の小崎さんの映像を見ながら関係者が思い出を語り合ったトークセッション=国立長崎原爆死没者追悼平和祈念館

 長崎で被爆し語り部として活動したカトリックの修道士、小崎登明(本名・田川幸一)さん=今年4月、93歳で死去=の遺影が、長崎市平野町の国立長崎原爆死没者追悼平和祈念館のデータベースに登録され、公開が始まった。それを記念したトークセッションが23日同館であり、関係者が小崎さんの思い出を語り合った。
 同館は原爆で多数の人が亡くなった事実を伝えるため、死没者の遺影や手記などを収集、公開している。小崎さんは17歳の時に被爆して母を亡くし、同市の聖母の騎士修道院に入った。アウシュビッツで死刑宣告者の身代わりに亡くなった同修道院の創立者、コルベ神父の功績を広めたことでも知られる。
 トークセッションには、修道士として小崎さんと生活を共にした聖母の騎士修道院長の山口雅稔さん(50)や、小崎さんの被爆体験を継承する「交流証言者」として名乗りを上げた長崎平和推進協会職員の横山理子さん(47)らが参加した。
 山口さんは「小崎さんは、崇高なコルベ神父の精神に憧れながら、自分の弱さを直視し、人間とは何かを探究した人。人の痛みを理解することが平和の原点だと若い世代に伝えていた」と人柄を振り返った。
 横山さんは「平和を語ることが自分が生き残った意義だととらえていた人だった。被爆体験を継承するためにはまず被爆者を知ることが必要だと、病床の小崎さんから学んだ」と語った。

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