ルートインBCリーグの茨城からメキシコのベラクルスに移籍した濱矢
楽天、DeNAでプレーし、今年7月に独立リーグ・ルートインBCリーグの茨城アストロプラネッツから、メキシカンリーグのエル・アギラ・デ・ベラクルスに移籍した濱矢廣大投手が現地時間25日(日本時間26日)、ゲレーロス・デ・オアハカ戦に初先発し、6回3安打無失点、無四球12奪三振の好投で初勝利を収めた。
チームのプレーオフ出場権獲得に向け、先発要員として白羽の矢が立った左腕の濱矢。メキシコ到着からわずか4日後の先発となったが、三塁を踏ませぬ安定した投球で、チームを8-0での勝利に導いた。
「大事な初登板だったので緊張しました。この日の結果次第で今後のことも変わってくるので、気合が入っていた。しっかり抑えられて良かったです」
DeNAに所属していた2019年冬にもメキシコのウインターリーグのベナードス・デ・マサトランでプレーし、7試合3勝0敗、防御率1.44の好成績を残した。だが、翌2020年限りでDeNAを戦力外となり、今季は独立リーグでプレー。茨城では16試合1勝3敗、防御率4.67と納得の成績は残せず、シーズン途中からは中継ぎに回っていたが、2年ぶりに戻ったメキシコで息を吹き返した。
メジャー通算132本塁打のプイグから「お前、すごいな」
「BCリーグの時は直球に課題があった。でもメキシコに来て、投手コーチが若手に教えている指導方法を見て自分に合っていると思い、実践したら直球が良くなった。まだ割合は低いが、半分以上はいいボールが投げられた」
奪った12三振のほとんどが直球とスプリット。「ウインターリーグの時も感じましたが、メキシコでは縦の変化が有効だと思った。メキシコは三振を取ると、スタンドのファンが口笛を鳴らして盛り上げてくれるので、投げていて楽しかったです」と、声を弾ませた。
チームメートでMLB通算132本塁打のヤシエル・プイグ外野手もタイムリーで濱矢を援護した。試合後には「お前、すごいな」と好投を喜んでくれたといい、濱矢は「プイグは顔は怖いけど、優しい。彼にも認めてもらえた。これでやっとチームの一員になれた気がする」と、安堵の表情を浮かべた。
「まさかベンチ入りした初日に乱闘が起こるとは思わなかったけど…」
メキシコ到着直後から、驚きだらけだった。契約ではホテルに住むことになっていたが、ベラクルスに着くと、サプライズで用意されていたのはホテルの1室ではなく海沿いのマンション。試合では、大乱闘あり、ダブルヘッダー(各試合7イニング制)あり、延長14回の7時間半ゲームありと、登板前日までタフな日々が続いた。
「まさかベンチ入りした初日に乱闘が起こるとは思わなかったけど、自分も止めに行きました」。メキシコでは日本と違い、その試合で投げない先発投手もベンチ入りするため、延長14回まで戦った登板2日前の試合は深夜2時の試合終了後に帰宅。それでも「時差ぼけもほとんどないし、BCリーグで猛暑の中のデーゲームを経験しているので、メキシコの暑さも苦じゃない」と、たくましい。
チームはこの試合を終え、29勝28敗で南地区9チーム中5位。6位までが8月7日から始まるプレーオフに進出できるため、レギュラーシーズン残り9試合も負けられない戦いが続く。チームの首脳陣やコーチからは「楽しんで野球をしてほしい」と言われているといい、濱矢は残り1試合か2試合となる先発機会で結果を残し、チームをプレーオフ進出へと導くつもりだ。
今季のメキシカンリーグでは、マリアッチス・デ・グアダラハラでプレーする元日本ハムの中村勝投手がリーグトップの8勝を挙げ、元ヤクルトでレオネス・デ・ユカタンに所属するロガン・オンドルセク投手が防御率リーグトップの2.38。元広島でブラボス・デ・レオンのハビエル・バティスタ外野手もリーグトップタイの17本塁打と、元NPB選手の活躍が目立つ。濱矢も彼らに負けじと存在感を出し、18チームあるメキシカンリーグの頂点を目指していく。
【動画】異国の地で堂々デビュー メキシカンLに挑戦中の濱矢廣大の現地での投球映像
【動画】異国の地で堂々デビュー メキシカンLに挑戦中の濱矢廣大の現地での投球映像 signature
(Full-Count編集部)