放送大学の学生サークルが、古文書「全文翻刻」の偉業!武士の江戸滞在日記を解読~面接授業をきっかけに~

2021年7月26日

放送大学(学長:岩永 雅也、本部:千葉県千葉市)では、千葉学習センター(所長:長澤 成次)の学生団体(サークル)「古文書を読む会」が、同会顧問の岩淵令治学習院女子大学教授の指導の下、江戸時代天保年間の古文書「国枝外右馬江戸詰中日記」(以下「日記」)の全文翻刻を成し遂げ、このほど、「勤番武士の江戸滞在記」(勉誠出版)として書籍化された。あとがきには、同会の24名が翻刻担当者として名を連ねている。この「日記」については、概要を紹介されたことはあったが、全文翻刻は初とのこと。

「古文書を読む会」は、1995(平成7)年に放送大学千葉学習センターの面接授業(スクーリング)科目「近世文献講読」の受講者13名が当時の担当教員であった岩淵氏のもと古文書解読を定期的に行うサークルとして発足。以来8点に及ぶ古文書解読を行い、今回の「日記」は2007(平成19)年4月から読みはじめ2015(平成27)年読了。会発足から四半世紀を経て、積み上げてきた成果が世に出ることとなった。

この「日記」は豊後国(大分県)臼杵藩の藩士であった国枝外右馬(くにえだとうま)が、天保13(1842)年3月~翌14(1843)年6月、参勤交代で江戸勤番中に国元の妻子へ宛て認めたものである。職務・生活(食事、健康、買い物、娯楽など)・文化交流等に至るまで記述が詳細・豊富で挿図約140点も伴っており日本近世史研究にとって価値の高い史料と見られている。「日記」を所蔵する臼杵市教育委員会には、出版にあたり画像使用許可など多大なる御協力を頂いた。

今回の成果は、放送大学が通信制でありながら全国57のキャンパス(学習センター・サテライトスペース)を拠点に、教員と学生、学生同士の交流、サークル活動が活発に行われていること、学生が長期間在学できる制度を活用して、多くの学生が高いレベルと意識でずっと学び続けていることなど、放送大学ならではの学生気質が結実したものと考えられる。

書籍名:勤番武士の江戸滞在記 ― 国枝外右馬江戸詰中日記

編者:岩淵 令治 発行:勉誠出版

刊行年月:2021年3月

ISBN978-4-585-32000-5 C3021

定価[本体10,000円+税]

【内容に関するお問い合わせ】 放送大学千葉学習センター TEL 043-298-4362(直通)