【後発薬問題】厚労省・林課長「流通改善GL改定に回収等の早急な情報提供盛り込む予定」

【2021.07.27配信】7月21日に開かれた厚労省の中医協では、後発医薬品に関する課題について委員から複数指摘され、これに対して、厚労省医政局経済課長の林俊宏氏が現状を説明した。今秋に改定を予定している流通改善ガイドラインに関して、回収などが生じた場合、早急な情報提供を行うことなどを明記する方向で検討が進んでいると説明した。

安定供給と流通の改善に関して日本薬剤師会常務理事の有澤賢二氏から指摘があったことに対して、林課長は「骨太の方針でも後発医薬品の品質及び安定供給の信頼性の確保を柱とし、官民一体で、製造管理体制強化や製造所への監督の厳格化、市場流通品の品質確認検査などの取組を進めるとされている」とした上で、「こういったことを受けて、まずは業界においても品質確保と安定供給、コンプライアンス、ガバナンス強化などを柱として各社自己点検の強化に取り組んでいるところ」とした。これらの取り組みは日本ジェネリック製薬協会のホームページに随時公開しているとした。

一方、厚労省においては共同開発や製造管理体制について、個別の品目の承認審査時における新たな対応を行っていることを説明。保険収載時の自発的な見送りについては従来の範囲に加えて5年間の安定供給が守れなかった場合、2回収載を見送ってもらうという対応を追加していることを説明した。
製造所に対する無通告検査については、7月を強化月間として立ち入りを実施しており、結果については8月をメドに公表する予定とした。

安定供給の問題に関しては、後発医薬品を直接の契機としているものではないが、それ以前から対応をとってきているとした。昨年9月には医療用医薬品の安定確保策に関する関係者会議から提言をまとめたとした。
安定確保医薬品の選定、それを踏まえた予防、早期対応、供給不安時の対応も提言に含まれており、それにのっとり対応を進めているとして。具体的には昨年の12月には医薬品が供給不足に陥った時に、適切に医療現場に情報を提供するようにメーカーに指導しているとした。
今年5月には、供給不足が生じる場合に、必要な情報をメーカーから厚労省が把握して対応を指示等できるように供給不足時の対応スキームについて通知したとした。

個別の医薬品についても、医療上の重要性が極めて高い製剤についてはメーカーへの増産依頼、医療機関、薬局、卸に対して適正な購入を依頼しているとした。あるいは代替薬活用や適正使用を依頼しているとした。プロポフォールやアルファカルシドール等について、前述の対応を行っているとした。

流通改善ガイドラインの改定に関して、「価格の交渉だけでなく、回収に際した早急な情報提供に取り組むことを含めて、現在、改定案を提示している最中で秋ごろまでの策定を目指している」と述べた。

後発医薬品の使用割合が約8割となる中、「後発医薬品は医療上の重要な役割を担っていると認識している」とし、「医療関係者や患者が安心して医療を受けられるためにも後発医薬品を含めた医薬品が継続的に安定的に供給されていくことが非常に重要と考えている」と話した。

「今後は、特に医療現場で適切な医薬品が選択できるように、メーカーからの適切な情報提供を進めることも重要だと認識している」とした。「こういった点も含めて医薬品の安定確保に取り組んでいく」とした。

安定供給5年未満で収載見送りの施策がかえって供給不安をもたらすとの懸念に関しては、「もともと初収載時の品目数が多すぎることが安定供給の阻害になっているのではないかとの指摘があった」とし、過去の安定供給について問題を生じた企業からの新規収載を見送ることについては「安定供給上からも一定の効果があると考えている」と述べた。

不祥事の監査の方針に関しては、「指摘があったように無通告監査ですべてが解決するわけではなく、これは例外的な対応。基本的には県を中心とした立ち入り検査の質を向上することと併せて、事業者がしっかりとGMP等を守っていただくことが重要だと考えている」とした。

「現在の供給不足問題が小林化工、日医工の不祥事が理由なのか」との質問に対しては、「日医工が供給量の多くを担っていたため、その供給再開の見通しが立っていないことが直接の大きな要因」と指摘。「大手企業を中心に増産に勤めていただいており、厚労省としても必要な対応等の依頼をしている状況」と説明した。

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