【高校野球】4→21安打で春夏連続甲子園へ王手 京都国際が休養日に行った“ホームランダービー”

京都国際・平野順大【写真:市川いずみ】

準々決勝はたった4安打で辛勝も、準決勝・東山戦で大勝

準々決勝から中1日。チームは生まれ変わった。26日に行われた全国高校野球選手権京都大会準決勝で、春夏連続の甲子園を狙う京都国際が東山を11-8で下し、決勝進出を決めた。両校合わせて34安打のシーソーゲームを制した京都国際・小牧憲継監督は「苦戦しながらチームが1つになってくれた」と振り返った。打線が別の顔を見せた。

中1日を有効的に使えた結果だった。24日に行われた塔南との準々決勝は散発4安打。うち2本が内野安打と、なんとか四球を活かした得点で準決勝に駒を進めていた。

「勝ちたい、勝ちたいという“金縛り”でプレッシャーだった。だんだんとスイングが小さくなっていっていた」。京都大会を勝ち切るにはこのままの状態では厳しい。指揮官が打線を奮起させようと休養日の25日に発案したのは“ホームランダービー”だった。

「全員ホームラン打ってこい。ホームラン性のあたりが出るまで、練習をさせました」。メンバー外の投手が1時間、投げ続けてくれたボールをとにかく大きく振り抜くように指示をした。指揮官の狙い通り、本来のスイングを取り戻した京都国際打線は21安打も放った。

中でも奮起したのは、この日先発のマウンドを任された背番号18の平野順大投手(2年)だった。

平野は先発投手の責任を果たせずも……4安打5打点とバットで勝利に貢献

「投手としては0点。いやマイナス100点!!」と試合後に小牧監督がジョークを交えて振り返ったように、初回に3安打と1死球で2失点。わずか0回1/3でエース森下瑠大投手(2年)にマウンドを託すことになった。平野は「森下が逞しく見えました」と右翼の位置から仲間の投球を見守りながら、「バッティングで取り返したる」と打撃での挽回を誓っていた。

2-3と1点ビハインドで迎えた3回。「高校生活で初めて」という中堅へ、同点弾を放つと、逆転された直後の6回には左翼へ適時二塁打。さらに6-6の同点の8回にも中堅へ適時二塁打。最後は9回に右前へ2点適時打を放ち、チーム最多の4安打5打点の活躍をみせた。投球にはマイナス評価をした指揮官も「バットで取り返してくれた」と打撃での活躍を称えた。

春夏連続甲子園へ王手をかけた。今春の選抜では、東海大菅生に逆転サヨナラ負けを喫し、あとアウト1つでベスト8入りを逃した。だが、この試合があったからこそ「この夏は、少しは精神的に逞しくなった」と小牧監督は選手たちの成長を口にした。決勝戦の相手は昨年の秋季大会で11-0の7回コールドで破った京都外大西。それでも「チャレンジャーの気持ちでやりたい」。甲子園へ戻るため、最後までアクセルを踏み続ける。(市川いずみ / Izumi Ichikawa)

市川いずみ(いちかわ・いずみ) 京都府出身のフリーアナウンサー、関西大学卒。元山口朝日放送アナウンサー時代には高校野球の実況も担当し、最優秀新人賞を受賞。NHKワースポ×MLBの土日キャスター。学生時代はソフトボールで全国大会出場の経歴を持つ。

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