【柔道】永瀬貴規 男子81キロ級で金メダル! 右膝の大ケガ乗り越えリオ銅の雪辱

世界王者のモラエイ(左)を体落としで仕留めた永瀬

柔道競技4日目(27日、日本武道館)、男子81キロ級で永瀬貴規(27=旭化成)が金メダルを獲得。同階級では21年ぶり、日本の男子代表では4日連続で表彰台の頂点に立つ快挙をやってのけた。

決勝の相手は2018年世界王者のモラエイ(モンゴル)。がっちり組んでくる相手になかなか勝負にいけなかったが、延長戦で狙い済ました体落としで技ありを奪い、決着をつけた。

畳を下りた永瀬はさわやかな笑顔を見せ「オリンピック、こうやってたくさんの支援やサポートがあって無事開催できて、本当に感謝の気持ちでいっぱいです」と話すと「前回のリオ五輪で悔しい思いをして、それから5年間、本当につらい時間のほうが多かったんですけれど、本当にこのためにやってきて良かった」と喜びを口にした。

まさに奇跡の復活だ。2015年世界選手権覇者の永瀬は、16年リオ五輪で銅メダルを獲得。次の母国五輪の頂点取りに大きな期待をかけられたが、翌17年の世界選手権で右ヒザの前十字靱帯を断裂する重傷を負った。

当時は柔道関係者の誰もが「今後の競技人生に関わるのでは…」と心配したほどの大ケガ。それでも手術→リハビリを経て1年後に復帰した。復調に手間取ったものの、座右の銘「日々精進」の通り、地道な努力を続けて粘り強く稽古に励み、大舞台にたどり着いた。

体形的に手足が長いため懐が深く、相手の返し技をさらに切り返すことにたけている。鉄壁の防御には定評があり、パワー自慢の屈強な肉体の外国人選手も苦にしない。「がっちり組んで一本を狙い続ける」ニッポン柔道にはなかなかいないタイプ。その〝異質〟ぶりが、ここ一番で大輪の花を咲かせた。

それでも殊勲の金メダリストは「僕の長所は気持ちで折れずに最後まで攻め抜く姿勢だと思うので、それが今大会、生かせてよかった。絶対に自分一人では取れなかった金メダル。たくさんの方に支えられて感謝の気持ちでいっぱいです」と最後まで謙虚に語った。

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