【ソフトボール】エース・上野由岐子 北京戦士・峰も驚愕のメンタル「逆にすごくないですか?」

13年ぶりの金メダルを喜ぶ上野由岐子(左)

大舞台に強い理由とは――。東京五輪のソフトボール決勝(27日、横浜スタジアム)が行われ、日本が米国に2―0で勝利し、2008年北京五輪以来、3大会ぶりの金メダルを獲得した。エース・上野由岐子投手(ビックカメラ高崎)が6回途中まで無失点の好投。一度は左腕・後藤希友(トヨタ自動車)にマウンドを譲ったが、7回にリエントリーで再びマウンドへ上がり、見事胴上げ投手となった。

なぜ、大事な場面で十二分に力を発揮できるのか。北京五輪の優勝バッテリーで代表戦士の峰幸代捕手(トヨタ自動車)はかつて、上野のメンタル面のすごさを指摘していた。

「なんか結構フラットなんですよね。メンタルが上下しないっていうメンタルの強さがとてもあると思う。大きい舞台、五輪の決勝と日常の練習の気持ちの差があまりない。だから日常的に自分でやっていることをやるっていう感じですね」

試合だからといって、特別なことはしない。実際に上野も26日の取材で「その日の状態に応じてベストパフォーマンスをするだけ。特別変わったことをするつもりはないし、ただ後悔のないように投げたい。やるべき相手が分かっているし、あとは準備をするだけだと思っているので、出し切るだけ」と話していた。

まさに超人の域に達している上野のメンタル。経験豊富な峰でさえ「逆にすごくないですか? 基本的にフラットで、気持ちの切り替えをすごく上手にやれる。同時に常日頃から改善をしているクセがあるので、試合の中でもひらめきが瞬時に出てくる。そのメンタルの強さは、強いというよりは安定している。やっぱり他の人と一味違いますね」と目を細めるほどだ。

今大会で上野が投じた球数は389球。試合後には「13年という年月を経て、諦めなければ夢はかなうことを伝えられたと思う」と神妙に語った。まさに日本の絶対的エース。新たな伝説が誕生した。

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