〈なおえつうみまちアート〉作家紹介〈5〉 安国寺通り特設会場 「海のまち」直江津表現 「A.B.in Naoetsu」(青田真也さん)

 海岸や街で見つけたさまざまなものを中心として、インスタレーション(空間構成)を発表する青田真也さんは、リサーチで初めて訪れた直江津の海について、こう印象を語っています。「風光明媚(めいび)で、多様な海洋生物が生息する豊かな資源であり、サーフィンや海水浴など年間を通して魅力的な行楽スポットでもあると思います。地域の方が海を大切にされているのはもちろんのこと、隣接する地域の方々にとっても〝自分たちの海と感じている〟という話を聞いたことも、とても印象的でした。そのようにたくさんの方々に愛される大きな存在なのではないでしょうか」と。

長く海を漂い表面が削られた漂流物をイメージした作品

 さらに直江津の歴史をひもとくと、鉄道や海運を通じていろいろなものが通過していったまち、という点にも着目しました。「通るまち」としての直江津に受け継がれている時間を作品に反映しています。また、この作品は「海に流れる漂流物」もイメージしています。漂流物が長い時間をかけて、表面を削られて優しい表情に変化するように、直江津が永きにわたり、外からくるものや人におおらかなまちとして形成されてきたことや、あらためて海のまちであることを喚起させます。(文・キュレーター・鈴木潤子さん)

青田真也さん

 青田真也さんはアーティスト。身近な日用品など、さまざまなものの見慣れた表層をヤスリで削る作品シリーズを中心に、本質や価値を問い直す作品を制作。主な展示に、「あいちトリエンナーレ2010」、2014年「日常/オフレコ」(神奈川芸術劇場)、「MOTアニュアル2014」(東京都現代美術館)、「青田真也 よりそうかたち」(Breaker Project、大阪、2018年)など。また名古屋港エリアのアートプログラムやフェスティバルの共同ディレクターも務める。

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