「被爆体験者も救済を」 原告ら和解申し入れへ 「黒い雨」訴訟 首相談話 長崎

首相談話の発表を受け、会見する原告団長の岩永さん(右)=長崎市役所

 広島の「黒い雨」訴訟の上告断念方針に伴う首相談話を受け、国の指定地域外で長崎原爆に遭った「被爆体験者」として被爆者認定を求める訴訟の原告らは27日、長崎市内で会見し、広島と同様に早期救済を求めた。弁護団は訴訟の早期解決を図るため、28日にも地裁に和解協議を申し入れる方針を明らかにした。
 首相談話は「訴訟への参加、不参加にかかわらず認定し救済できるよう早急に対応する」とした。ただ、第1陣原告団長の岩永千代子さん(85)は、談話に「長崎」の地名がなかったことを懸念。それでも「首相は自らの言葉で救済すると言った。私たちも十分影響を受けている。救済を実現してもらいたい。そうすれば、大きな波紋として広がっていくはずだ」と希望をつないだ。
 原告側の三宅敬英弁護士は「長崎の被爆体験者も広島の原告と同じ事情にあったと言える。救済してもらえるとの認識だ」と説明。被爆地域の拡大を念頭に、早期の全員救済を目指し、和解協議を申し入れる考えを強調した。
 第2陣原告団長の山内武さん(78)は「いくらかでも早く訴訟を終わるため、和解を受け入れてもらいたい。長崎県や長崎市にも役割を果たしてほしい」と語った。
 長崎市の田上富久市長は会見で「(上告断念の)政府の判断が、長崎の被爆体験者のケースにも当てはまる形で解決に結び付くことを期待している。国の見解について情報収集して分析し、成果に結び付くよう要望したい」と述べた。

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