豆徳本店 ~ 始まりは竹炭豆!新しい味を作り続ける老舗豆菓子店の挑戦

福山のお土産に、ちょっとしたプレゼントに、お世話になったあのかたに、というとき真っ先に思い浮かぶのが、豆徳本店の豆菓子です。

創業明治2年の老舗豆菓子店は、毎月新しい商品を生み出したり、福山以外にも店舗を広げたりと挑戦を続けています。

豆徳の豆菓子はなぜこんなにも美味しいのか?その秘密を知りたくて、おじゃましてきました。

種類豊富な豆徳本店の豆菓子

豆徳本店には、多くの種類の豆菓子が並んでいます。

店頭に並ぶのは60種類以上

定番の豆菓子に加え季節限定の商品や、その月の新商品も入れると、取材に行ったときには60種類以上が店頭に並んでいました。

冬にはチョコレートを使った甘い豆が、夏には爽やかさやしょっぱさを感じる豆が登場します。

贈り物に喜ばれる詰め合わせ

大切なひとへの贈り物には、「いつまでもまめにすごせますように」との思いをこめて、さまざまな味を詰め合わせたセットが人気です。

お礼やご挨拶の気持ちを伝えるちょっとしたプレゼントにぴったりな、小袋に入った豆の詰め合わせも素敵です。

「福山ブランド」認定品の「五福のたま」は、福山らしさいっぱいの豆菓子が5種類、詰め合わされています。

【五福のたま 35~45グラム各1袋 5袋入 1,080円(税込)】

10種類の豆菓子が巾着の中に入った「まめあそび」。

甘い豆としょっぱい豆の組み合わせのバランスも絶妙です。

【まめあそび 10種類の豆菓子テトラ10袋入 864円(税込)】

野菜・果物チップスとは?

野菜や果物を「減圧フライ製法」という、低温で旨味と栄養を凝縮させて作ったチップスは、軽くてサクサクの食感が特徴です。

野菜嫌いなお子さんもこれなら食べられる!と喜ばれることが多いのだとか。

油っぽさや余分な味付けはほとんどなく、にんじんはにんじんの甘み、さつまいもはさつまいもの旨味が、しっかりと感じられます。

いつまでも食べていたくなるチップスです。

【野菜アラカルト 32グラム入 237円(税込)】

大ブームのナッツに注目!

近年、アンチエイジングやダイエットなどの面から、注目度が高まっているのがナッツ類です。

健康のためにナッツは食べたいけれど、いつもシンプルな素焼きのナッツだけでは飽きてしまう、そんなときにおいしく味がついたナッツがあれば、続けられます。

豆徳のナッツには、健康を願う気持ちが、たっぷりと込められているのです。

お得な直売コーナーもおすすめ

2020年12月にオープンした「直売コーナー」には、大袋入りのお買い得品が並びます。

たっぷり300グラム入りの竹炭豆が540円(税込)!工場直売コーナーならではの破格値です。

市場のような気軽で楽しい雰囲気ですね。

始まりは竹炭豆

豆徳と聞いてまず思い浮かぶのが、真っ黒な「竹炭豆」(324円:税込)です。

旨味をたっぷりと引き出して煎られた落花生に、コクのある醤油味。不動の人気を誇る、豆徳の看板商品です。

今の豆徳は、この竹炭豆から始まりました。

竹炭豆を開発したのは、先代社長。

創業以来、ずっと豆を商っていましたが、いわゆるビールのおつまみ的な安いイメージのものでしかありませんでした。

先代社長は「本当にいいものを扱っているんだ。もっと豆に力を入れよう。そうだ!大好きなイカスミスパゲティーの味の豆を作ろう」と思い立ちます。

コツコツと開発を続けて1年ぐらい経った頃。

いくらやってもなかなかイカスミの色がでないので、半ばヤケクソになり「イカスミがだめなら炭だ!

舌触りがよくなるようにと、炭屋さんと協力して炭を細かい粒子にしたり、細かすぎる粒子で全身が真っ黒になったり。

さらなる試行錯誤を繰り返し、ようやく竹炭豆が誕生しました!

しかし、その当時はまだ炭を食品とすること自体が認められていませんでした。

国にかけ合い、申請して認可が下り、できあがった竹炭豆。

今、世の中には多くの炭入りの食品がありますが、日本で初めて炭を食品に入れたのが、豆徳です。

職人の手でていねいに作られる豆菓子

豆徳の豆菓子は、11人のベテラン製造職人の手によって、ていねいに作られています。

まず、豆の周りに下地となる生地を巻きつけていき、ていねいに煎ったあとに、素材の元となる粉末などを何重にもかけて仕上げていくのです。

煎りだけに40~50分、味をつけるのにも40~50分。

強い火で煎ってしまえば早く作れますが、豆を一番おいしい状態にするために、とろ火でじっくり煎り上げます。

温度や湿度によっても、煎る時間や火加減が変わってくるため、どうしても、職人のギリギリの見極めが必要です。

夏限定の「三色ラムネ豆」

子供たちが大好きなラムネと落花生が合わさった、上品で爽やかな豆菓子です。

三色の豆を別々に作って混ぜるという手間をかけているのは、豆徳のモットーである「美味しく、楽しく、体に良い」を表すため。

見た目の楽しさにもこだわっています。

温度と湿気の影響を受けやすいので、朝一番に作っているそうです。

【三色ラムネ豆 90グラム入 324円(税込)】

職人技が光る「牡蠣豆」

もっとも職人の技と腕を必要とするのが「牡蠣豆」です。

広島の味覚の代表である牡蠣をイメージした豆にするため、一層目には竹炭を使った黒い生地を、二層目には牡蠣殻のように真っ白な生地をまとわせ、煎ってからつぶしてまた煎る、という工程で作られます。

普通に煎ると茶色くなってしまう豆を、白い牡蠣殻を表現するために白さを保って煎り上げたい。けれども、中のピーナッツにはちゃんと火を入れたい。

茶色くならない零コンマ何秒というところを見極めて煎り上げる、職人技が光ります。

【牡蠣豆 70グラム入 378円(税込)】

新製法の「ペペロンチーノ豆」

豆徳の豆菓子は、袋を開けた途端にいい香りがふわっと立ち上ります。

なかでもペペロンチーノ豆の香りは秀逸!

少し強めの塩味、ぴりりとくる刺激、そしてにんにくと豆の旨味。

この豆の作り方は、他とは少し違います。にんにくや唐辛子などを煮出してできた味付きの油を、豆にかけて仕上げるのです。

【ペペロンチーノ豆 70グラム入 324円(税込)】

そのほかおすすめの豆菓子

どれもこれも全部おいしいのですが、今回特におすすめしたいのはこの3つ!

  • ふくマヨネーズ豆…マヨネーズ好きにはたまらない逸品。サクッと軽い食感に仕上げた生地と、やわらかなフグの旨味に、ついつい手が伸びます。70グラム入 351円(税込)
  • いわし豆…いわしを丸ごとすりつぶした粉末入りで、カルシウム豊富。いわしの風味がギュッと詰まった、節分の時期の隠れた人気商品です。 80グラム入 324円(税込)
  • みるく珈琲豆…カフェオレではなく、「みるく珈琲」という名前に納得。優しい甘さに癒されます。
    90グラム入 378円(税込)

続いて、常務取締役である上迫安代(うえさこ やすよ)さんにインタビューをしました。

常務取締役・上迫安代(うえさこ やすよ)さんにインタビュー

常務取締役である上迫安代(うえさこ やすよ)さんにお話を聞きました。

毎月生み出される新商品の秘密

──毎月新しい商品を出されているんですね。

上迫(敬称略)──

竹炭豆ができた後、「ひとつだけではだめだ、これに続く商品を作ろう」と新しい企画を出し続けてきた結果、さまざまな豆菓子ができました。

今も週に1回、新作会議を開いています。会議に参加するのは、販売や営業、製造とさまざまな部署のメンバー。

いろいろな立場でお聞きしたいろいろなお客様の声を、開発に生かしています。

でも、すぐに商品ができるわけではありません。

候補としては15品ぐらいの企画を、同時に走らせています。そうして形になったものが、毎月の新作です。

これまで商品の9割ほどを落花生が占めていたのですが、落花生のアレルギーがあるかたにも食べていただけるようにと、そら豆や大豆、ナッツの商品を増やしています。

ペペロンチーノ豆のような、お食事系の豆も、今後どんどん出していきたいですね。

その月の新作は、レジ前に置かれる
2021年7月のおすすめ「グレープフルーツ大豆」と新作「黒トリュフ塩ミックスナッツ」

【グレープフルーツ大豆 70グラム入 432円(税込)】

【黒トリュフ塩ミックスナッツ 65グラム入 432円(税込)】

新企画続々!贈り物用の詰め合わせ

──こちらの詰め合わせのコーナーが大好きで。

上迫──

本当ですか。うれしいです。店舗のものがアイデアを出しながら作っています。

少量で、「吹き寄せ」のようにいろいろなものが入っている商品も企画中です。

お友達と2人で食べきれるくらいの量で、でも華やかで楽しくなるような。

2021年のお歳暮シーズンに出したいと思っていますので、楽しみにしていてくださいね。

──期待しています!

上迫──

もっと竹炭豆の豆徳、というのを打ち出していきたいとも思っています。

黒だけのセットとか、白い豆と合わせたモノトーンのセットとか、どうでしょうね?(笑)

海外展開を見据えた工場作り

──工場はどちらですか?

上迫──

胡町の店舗の奥がISO 22000(食品安全)の認定の工場です。

大門にももう一つ工場があって、そちらはFSSC 22000(食品安全)と、有機JAS(オーガニック)の認証を取っています。

豆菓子業界でここまで取っている会社はないんじゃないかと思いますが、海外との商談をベースに乗せるためには、それぐらいの高い認証が必要だというのがありました。

──海外へも展開しておられるんですね。

上迫──

これまでに12か国ぐらいの取引があります。

ちょっとアップクラス的なスーパーマーケットや、高級デパートなんかに出していました。

ただ今は、新型コロナウイルス感染症の影響で営業や展示会ができないので、全然です。

──でも、準備は着々と進めておられる?

上迫──

そうですね。東京の浅草に新店舗をオープンしたので、そこから海外のかたにも知っていただくチャンスがあるのではないかと考えています。

豆徳浅草店の挑戦

──2020年12月に浅草店がオープンしました。

上迫──

浅草店は、20代から30代の若いかたや、海外の観光客をターゲットにしています。

豆菓子だけでなく、スティックタイプの新感覚スイーツ「MAMERONBAR」や、お好みの豆をトッピングする「MAMERONジェラート」をお出ししているのも、いろいろなかたが集まる浅草だからこそのチャレンジです。

mametoku_officialで、浅草店のようすを発信しています。

老舗かつチャレンジャー

──上迫さんは家業を継がれたわけですが、別の道を考えたことはなかったのですか?

上迫──

将来の夢は?なんて小学校で聞かれるでしょ?

皆がお花屋さんとかケーキ屋さん、って言ってるなか、私は「豆屋です」って答えてました(笑)。

竹炭豆を作っている父に、「ちょっとこれ食べて感想を聞かせてくれ」なんて言われるから、一生懸命答えたり。

父は上手に育てましたねぇ(笑)。

父を超える商品を作りたい。それを目標に頑張っています。

──偉大なお父様ですね。

上迫──

夢はどんどん膨らむんですよ。

観光地に積極的に商品を納めていたのですが、新型コロナウイルス感染症の影響で観光地が全部ダメになって、「じゃあ、やり方を見直そう」となって。

今は「しまなみナッツファーム」というブランドを考えています。

瀬戸内って地中海の気候に似ているので、アーモンドやクルミ、ピーカンナッツなんかが育つんですね。

島にナッツを植える土地を探していて、ちょうど見つかったところです。

ナッツが収穫できるようになるまでには、5年はかかります。

一方で、大豆を育てる計画も進行中です。

長いスパンで考えると、そうやって育てるところからやっているというのは、しっかりとした軸になるのではと考えています。

コロナ禍でなければ、ここまで考えることはなかったかもしれません。

ピンチをチャンスに変えて、常にチャレンジしていける会社でありたいと思っています。

老舗の新しい挑戦から目が離せない!

竹炭豆から始まった老舗の新しい挑戦は、今もまだ続いています。

「美味しく、楽しく、体に良い」をモットーにしながら、新しい夢へと向かっていく豆徳。

竹炭豆を超える商品が生まれるのは、そう遠くない未来なのではないでしょうか。

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