智弁和歌山25回目の優勝 夏の甲子園へ

試合の後、握手を交わす智弁和歌山と市和歌山の選手。左端は智弁和歌山の宮坂厚希主将(27日、和歌山市の紀三井寺球場で)

 第103回全国高校野球選手権和歌山大会は27日、和歌山市の紀三井寺球場で決勝があった。智弁和歌山が市和歌山に4―1で勝ち、4大会連続、25回目の優勝を果たした。全国大会は8月9日、兵庫県西宮市の阪神甲子園球場で開幕する。

 【27日】

●決勝

市和歌山  000 000 100 1  000 001 21× 4 智弁和歌山

 〔市〕小園―松川〔智〕伊藤、中西―渡部▽二塁打=松川、田中(市)、岡西(智)

 5回までは市和歌山の小園、智弁和歌山の伊藤の両先発投手による投手戦。両チームの守備陣も好プレーでもり立てた。

 智弁和歌山は6回、2死満塁から高嶋の適時打で先制。7回には大仲の適時打で勝ち越し、さらに岡西の二塁打でもう1点を加えた。8回にも加点し、伊藤と中西の継投で逃げ切った。

 市和歌山はエースの小園が最後まで投げ抜いたが、春夏連続の甲子園出場は果たせなかった。

 智弁和歌山の宮坂厚希主将(3年)は、太地町の太地中学校出身。中学の時は硬式のクラブチーム「和歌山南紀ボーイズ」でプレーした。宮坂主将は「応援してくれた方に、甲子園でも絶対勝つと伝えたい。目標は日本一。そのためにも目の前の試合で100パーセントの力を出し切りたい」と、力強く語った。

■全力プレーに感動

 2年ぶりに夏の甲子園へつながる第103回全国高校野球選手権和歌山大会は、智弁和歌山の優勝で幕を閉じた。

 紀南10校の成績は、田辺工業のベスト16が最高だった。他の9校は全て初戦で敗退。少し寂しい結果となったが、どの試合も球児たちの全力プレーに胸を打たれた。

 左手に障害がある神島のエース笠松子龍君(3年)は、ハンディキャップを感じさせない力投と器用なグラブさばきが光った。田辺のエース新家颯君(3年)は、12三振を奪って力を発揮した。南部龍神は、野球経験の少ない大向正人君(3年)が最終回の代打で安打を放った。

 2年前の夏はベスト4に進んだ南部と熊野は思わぬ初戦敗退となったが、それぞれ1点を争う好試合だった。1、2回戦と好調な打撃で勝ち進んだ田辺工業は、3回戦で市和歌山に終盤まで食らいついた。

 選手10人で戦った串本古座は、監督を含めて全員が元気に声を出し、最後まで戦う姿勢を見せていた。

 紀南の高校は、野球部員の減少が目立つ。この夏は10校中5校が20人に達していなかった。継投で投手と野手が入れ替わったり、試合経験の少ない1年生が出場したりと、人数の少ないチームは選手のやりくりに苦労していた。

 コロナ禍で遠征や練習試合もままならず、球児を取り巻く環境は以前より厳しい。逆境をはね返し、来年も紀三井寺球場で熱いプレーを見せてほしい。 (保富一成)

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