【侍ジャパン】初球空振りからの同点スクイズ成功の甲斐ニヤリ「作戦面のところもある」

同点のセーフティースクイズを決めた甲斐

東京五輪で悲願の金メダル獲得を目指す野球日本代表「侍ジャパン」が28日、オープニングラウンド初戦のドミニカ共和国戦(福島)に4―3の逆転サヨナラ勝ち。土壇場の9回に2点差をひっくり返しての劇的勝利で弾みをつけた。

最終回に同点セーフティースクイズを決めた甲斐拓也捕手(28=ソフトバンク)は試合後、勝負どころのシーンを振り返る際も興奮冷めやらぬ様子だった。「フゥ~」と大きく息を吐き「しっかりとやるべきことができたという部分は…、うん、しっかりと1点取れたというところは良かったと思います」と言葉をつないだ。

一死から柳田(ソフトバンク)の一塁内野安打で始まった最後の攻撃。甲斐の前を打つ村上(ヤクルト)の右前適時打で1点差に迫り一死一、三塁の場面だった。直前にベンチが動き、三走・近藤(日本ハム)の代走に源田(西武)が送られていた。初球、真ん中スライダーにバントの構えで空振り。源田はスタートを切らず、一走・村上にも動きはなかった。そして、2球目。再びセーフティースクイズを試み、一塁線へ確実に転がした。「頼むとしか思っていない。頼む、セーフになってくれと。そういう気持ちでした」。一塁を駆け抜けるとベンチの方向を振り返り、力強く手を叩いて満面の笑みでガッツポーズをつくった。

初球を空振りしてからの続けざまのスクイズに「そこは作戦面のところもあるんでね。まあ、まだ(ドミニカとの再戦の可能性も含めて)続くんでね」と不敵に笑った。

稲葉篤紀監督(48)は同点機を振り返り「三塁走者を近藤から源田に代えたんですけども、あそこはとにかくまず同点に追いついてと。こちらもタイブレークを想定しながら、まずはあそこで1点どうしても追いつきたいというところで源田を代走に送りました。(甲斐)拓也のところもスクイズか偽装スクイズか。あそこはどうしても同点に追いつきたかったので、偽装スクイズでというサインでやってもらいました」と采配の意図を説明。作戦が奏功し、執念でもぎ取った得点にベンチはこの試合一番の盛り上がりを見せ、坂本(巨人)のサヨナラ打につながった。

侍の正妻らしく最後は「投手陣の頑張りがあってだと思っている。みんなよく耐えてくれた。僕はそう思っています」とリードした5投手をたたえた甲斐。功は人に譲り、凡事徹底で役割を全うする。

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