沖縄の振興は「安全保障」 自民調査会が提言案に明記

 【東京】自民党は28日、新たな沖縄振興について話し合う沖縄振興調査会(小渕優子会長)の会合を開き、来年で 沖縄が日本復帰50年の節目を迎え、現行の沖縄振興特別措置法が期限切れを迎えるのを踏まえ、新たな沖縄振興計画に関する提言案を示した。同法で明記されている日本復帰の遅れや在日米軍基地が集中する現状など、「沖縄の置かれた特殊な諸事情」を招いた原因である沖縄戦には触れなかった。一方、国境を担う沖縄の振興は「総合的な安全保障としてアジア・太平洋地域の安定に資する」と明記。防衛を含む安全保障と沖縄振興との関連を印象づける内容となった。

 提言案の最終取りまとめは同日の会合で小渕会長に一任された。8月3日の党政務調査会で承認を得た後、同日中に党の提言として政府に提出する。 3月から続いた経済関係者や識者らの意見聴取で、事業者側から終了時期について発言があった酒税の軽減措置は「所要の見直しを行う必要がある」と踏み込んだ。ただ、会合では、酒税を含む税制特例措置の存廃に慎重な意見も出ており、最終的な提言に盛り込まれるかは不透明だ。

 復帰以降、沖縄振興が50年続いた点を踏まえ、「これまで以上に国民の理解と共感が必要」とも強調。台頭する中国を念頭に、「総合的な安全保障の実現を通じてアジア・太平洋地域の安定に資する」と沖縄振興を意義付けた。素案にはなかった「尖閣諸島」の文言を追記するなど、安保と沖縄振興を結び付けるような表現が目立った。

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