箱根山、富士山噴火で相互応援 神奈川と山梨が協定 黒岩知事「いざというときの備え」

噴火対応などに関する応援協定を山梨県と結んだ黒岩知事(左)と温地研の板寺所長=県庁

 神奈川県と山梨県は28日、箱根山と富士山の噴火対応を強化するため、緊急時の相互応援などに関する協定を締結した。神奈川県温泉地学研究所(小田原市)と山梨県富士山科学研究所(富士吉田市)が互いに研究員を派遣し、観測や調査などを支援する。

 両火山で噴火が発生するか噴火の兆候が認められた場合に研究員を派遣し、火山活動の評価や応急対策に協力するほか、日常的な火山研究や情報伝達訓練などを重ねて連携を強化する。

 この日はオンラインで協定締結式を実施。黒岩祐治知事は「箱根山はいつ噴火するか分からない。連携は非常に大事で、いざというときの備えになる」と意義を強調。温地研の板寺一洋所長は「研究者個人の連携はこれまでもあったが、二つの研究所は強みが違う。共有し合うことで防災力の向上に貢献できる」と述べた。

 山梨県の長崎幸太郎知事は「箱根山の先進的な観測の知見を学ばせてもらい、富士山の観測に役立てたい」と連携の強化に期待。富士山研の藤井敏嗣所長は「一つの研究機関で火山学の研究を網羅することは不可能だ。山の性質も違うが、それを学ぶことは重要で、緊急時にも必ず役立つ」と今後を見据えた。

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