急拡大

　「五輪の期間中に『TOKYO2020』になったりして…」と、誰かと不謹慎な会話をしたのは開会式の前の日だったか。新型コロナウイルスの感染者数が上昇を始めていた▲予想が甘かった。東京は「2020」など一気に通り越して一昨日2848人、昨日は3177人。全国の新規感染者数は9千人を超えた▲「感染者数の急増は東京五輪開幕に伴う4連休の休診の影響もある」との見方がある。ワクチン接種が進み、重症化リスクの高い高齢層の患者は少ない－との指摘もある。だが、この数字は驚きだ。いったい何が始まっているのか。県内の感染者数も連日じわじわ増えて何回目の流行再燃が心配▲五輪は日本のメダルラッシュが続いている。本県勢の活躍も熱い。一昨日は柔道・永瀬貴規選手の快挙に興奮し、休む間もなくソフトボールで藤田倭選手の快打に歓声を上げた。昨夜は森保一監督と吉田麻也主将の男子サッカー。うおっ、日本3点目▲菅義偉首相は一昨日、感染急拡大と五輪中止の可能性を問われて「人流は減っている。心配いらない」と述べた。感染者数は下火に向かうという意味なのか▲首相の言を借りるなら「数十億人の目」が今、東京に注がれている。何だか頼りないリーダー像が、五輪と一緒に発信されていなければいいが。（智）