最新版「楽天証券とSBI証券」iDeCoやつみたてNISAを買うならどちらがオススメ?

コロナ禍の株高で投資に興味を持つ人が増え、特にネット証券の口座開設数が伸びています。中でもネット証券の先頭を切るSBI証券は今年の3月22日に600万口座を突破したとプレスリリースを発表。次いで、楽天証券が5月19日に600万口座を突破したと発表しました。ネット証券をリードするこの2つの証券会社はどのような特徴があり、どのような人に向いているのでしょうか? それぞれの特徴や最新動向をお伝えします。


「つみたてNISA」の品揃えが一番豊富なのは?

そもそもネット証券が人気なのは、手数料の安い投資商品の品揃えが豊富だからです。特に投資を初めて行う人は「つみたてNISA」を始める人が多いと思いますが、どちらの証券会社もつみたてNISA対象投資信託の品揃えが豊富です。

2021年7月現在、つみたてNISAの取り扱い商品数は、楽天証券は177商品、SBI証券は175商品となっています。ネット証券大手のマネックス証券が151商品なので、取り扱い数に差が開いています。一方で、店舗型大手の大和証券は22商品。野村證券は7商品です。

また、楽天証券やSBI証券は品揃えが豊富なだけでなく、管理手数料(信託報酬など)が低い商品を取り揃えています。例えば、全世界の株式に投資可能な投資信託の取り扱いを比べても「SBI・全世界株式インデックス・ファンド(雪だるま(全世界株式)):管理費用0.1102%」「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー):管理費用:0.1144%」
など管理費用(信託報酬を含む)0.1%台の非常に安いものがしっかりと販売されています。

また、積み立て可能な最低金額も100円から設定が可能で、1円単位で増加することができます。そして、積立頻度も、毎日や毎月など頻度を選択できます。※SBI証券は毎週積立設定も可能。

楽天証券とSBI証券の違いを徹底比較

楽天証券もSBI証券も、どちらも非常に優れたネット証券であり、基本機能は充実しています。それでは2社の差はどこにあるのでしょうか?細かく比較していきましょう。

楽天証券
両証券会社ともに投資信託の残高に応じてポイントが付与されます。楽天証券は、楽天銀行と連携させる(マネーブリッジを行なう)と、楽天銀行のハッピープログラムを通じてポイントが付与されることになります。このプログラムの中で、投資信託の月間平均残高に応じて、残高10万円ごとに4ポイントの付与がついていましたが、8月1日以降、付与ポイントが変更になると発表されました。

今まで、全ての商品に一律で4%のポイントが付与されていたのが、信託報酬率のうち楽天証券が受け取る代行報酬手数料の率に応じて、A〜Dまでの4つのグループにわけてそれぞれに10ポイントから3ポイントまで付与ポイントを変えていくことになりました。また、一部の投資信託はポイント付与対象外になっており、内訳は以下の通りです。

一部のアクティブファンドなど信託報酬が高いものは、AグループやBグループなど、今までよりもポイント付与が増えましたが、Dグループや対象外に入った銘柄はポイント付与数が減ることになります。

対象銘柄は詳しくは以下の表に記しています。信託報酬が低くて人気のある銘柄が軒並み付与ポイントが下がっているので、事実上「改悪」と言わざるを得ない状況です。特に、SBIの雪だるまシリーズはポイント付与対象から外れてしまいました。

SBI証券

一方、SBI証券も投資信託の残高10万円ごとにTポイントが付与されるサービスがあります。SBI証券の場合は、元々投資信託の銘柄毎にポイント付与率が異なっていますので、改悪される楽天証券のポイント付与対象銘柄の中でも、特に人気の高いeMAXIS Slimシリーズの全世界株式(オール・カントリー)と、eMAXIS Slim米国株式(S&P500)で付与されるポイントを比較してみたいと思います。

投資信託を10万円以上保有することで還元されるポイントの付与条件は両社で異なるので、比較しやすいように年率になおして計算をしています。

楽天証券は、10万円あたり0.003%の付与になりますので、年間に直すと0.036%として計算しています。eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)であれば、例えば1,000万円の残高を持っていた場合に、楽天証券であれば3600ポイント付与されることになりますが、SBI証券では3740ポイント付与される事になり、その差は140ポイントです。

1,000万円の投資をしていてもこの差なので、違いは微々たるものと言えます。もともと楽天証券で投資を行っていた人が、この差をデメリットと感じて証券会社を切り替えるまでのインパクトはないと思いますが、楽天経済圏と呼ばれるポイントプログラムの改悪が続いており、ユーザーの心理的な不快感は拭えない状況になっています。

クレジットカードでの積立投資でお得なのは?

楽天証券は、楽天カードで投資信託の積立購入を月間最大5万円まで購入することができ、購入金額に対して1%のポイントバックがあります。また、この楽天ポイントを投資信託の購入資金に充てることができるので人気があります。

一方、SBI証券も三井住友カードと連携し、クレジットカードで投資信託を積立購入できるサービスを開始しています。三井住友カード※で購入するとVポイントが付与されます。クレカ積立の場合、積立設定は毎月10日締め切られ、翌月の1日に買付されるというサイクルになっています。※一部の三井住友カードはポイント付与対象外

ポイントの付与率は、クレジットカードのランクによって異なり、プラチナカードは2%ゴールドカードは1%、ノーマルカードは0.5%となっています。2021年内の積立設定分までは、期間限定のスタートダッシュキャンペーンとして+1%のポイント付与を行っているので、プラチナカードを利用している人は最大3%付与されます。

楽天スーパーポイントは投資信託の購入に充当できますが、Vポイントは現在は投資信託の購入には充当できないという違いもあります。Vポイントで投資信託を購入できるようになるのは2022年の春から夏のスタートを予定している模様です。

また、楽天証券SBI証券ともにクレジットカードで投資信託を買うことがジュニアNISAやiDeCoはできないので注意が必要です。

iDeCoを始めるならどちらを選ぶ?

では、iDeCoをはじめる場合は、どちらが有利でしょうか。

つみたてNISAと異なり、楽天証券はiDeCoの取り扱い商品数があまり多くなく、SBI証券に差をつけられています。例えば、世界中に分散投資をするために、エリアをアセットクラス毎に最安の信託報酬の商品をくらべてみた場合はこのようになります。

どちらも、悪いわけではありませんが、全世界株式のアセットクラスや、全米株式、新興国株式などでは差が開いていることがわかります。

証券会社の特性をうまく利用して投資を始めよう

つみたてNISAは、投資信託を貯めたポイントで購入が可能であることなどから楽天証券のほうが有利であると思います。一方、iDeCoについては、SBI証券が楽天証券よりも良い品揃えであると思います。

今回紹介した両社の違い以外にもさまざまな特性があります。

例えば、今年SBIアセットマネジメントから販売されたSBI V シリーズなどはSBI証券でしか買うことができないなど、楽天証券との差別化を図っています。その他、海外株式やETFの定期購入機能があるのもSBI証券だけになりますので、米国株やETFを中心に継続的な積立をする人はSBI証券を活用した方が有利な面もあります。

一方、楽天証券は、楽天銀行との連携で普通預金口座の金利が0.1%になるなどのインセンティブもあり、また、楽天スーパーポイントを楽天経済圏の中でフル活用すると大きなメリットがあります。

それぞれの証券会社の特性をうまく利用しながら、自分の投資スタイルにあった証券会社を選択し、両方の口座を開いて使い分けて行くことも良いと思います。この2社の強力なライバル関係があることで新機能、サービス、キャンペーンなどが連発されているので、利用者としては切磋琢磨から生まれた果実を、しっかりと理解して使いこなしていきたいものです。

© 株式会社マネーフォワード