【新型コロナ】8月11日の予測数は「4532人」 専門家は「早急に回避しなけなければならない」

 都内の新型コロナウイルスの感染状況、医療提供体制などを評価する都のモニタリング会議の定例会が29日開催された。出席した専門家は「これまでに経験したことのない感染拡大」であり、このまま拡大が続けば、8月11日の新規感染者数が「4532人」になると予測数を示して「早急に回避しなければならない」と最大限の警告メッセージを送った。これに対し小池百合子都知事は特に質問等はせず、これまで通りに都民らに対し行動自粛等を呼びかけるだけだった。

「潜在的な陽性者が増大している可能性がある」

 会議ではまず、28日までの感染状況の報告が国立国際医療研究センターの大曲貴夫・国際感染症センター長からなされた。それによると、直近の週平均の感染者増加率が前週よりもさらに上昇し153%となっており「これまでに経験したことのない感染拡大」であり、このままの増加率で推移すれば8月4日には2962人、8月11日には4532人になるとの推計値を示し「これは早急に回避しなければならない」と非常に厳しい口調で警告した。

 またこれまでの新規感染者数について、連休で検査数が少なくなっていた事情を鑑みても陽性率が非常に高まっており、この数値以上に「潜在的な陽性者が増大している可能性がある」と、実際の陽性者数はさらに上振れする可能性を示唆した。

すでに入院・療養先「調整中」の陽性者が16344人

 医療提供体制について報告した東京都医師会副会長の猪口正孝医師(全日本病院協会常任理事)は、先週から急速に入院者が増え、ここ1ヵ月で見れば倍増していることを報告。「医療提供体制のひっ迫はすでに始まっている」と危機感を表明。さらに、入院先・療養先を調整中の陽性者が、現時点で既に16344人にも及んでいることを指摘し「連休の影響もあるが、入院調整に時間がかかる事例がすでに多数発生、連休後も高い数値で継続している」と、現状ですでに適切な時期に医療を受けるのが極めて厳しい状態であることを示唆した。

「ハイリスクな時間帯の滞留人口が減っていない」

 会議では、人流計測指標のひとつである夜間滞留人口についても報告があり、まん延防止等重点措置、緊急事態宣言の効果で、全体としては5週間連続でその直前より滞留人口が減っていることが示されたものの、ハイリスクと言われる20時〜22時における滞留人口の減少幅が、前回の緊急事態宣言時下と比べればほとんど減っていないと報告。感染抑制のためには、少なくとも前回の宣言時まで人流を減らす必要があると指摘した。

 全ての報告を聞いた小池百合子都知事は、会議次第で設けられている意見交換の場でも特に質問せず、会議の最後に、都民、都内企業に行動自粛、テレワークの推進などを呼びかける従来通りの発言に終始した。

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