自由気ままに進むカヤックとの出会い。湖面から見える風景は想像をはるかに超えて…【ふくいのそと遊び】

水月湖と久々子湖をつなぐ人工水路「 浦見川」。緑の“トンネル”をくぐります。
カヤックを操って、人の訪れることが少ないプライベートビーチを満喫
若狭湾に浮かぶ岩のトンネル。穏やかな波をかき分けてちょっとした冒険気分も

 道無き水面を自由気ままに、思いのままに自分でコースを設定しながらアメンボーのようにスイスイと進むカヤック。こんなに自由な感覚を味わえるものがあるだろうか? 「この開放感は皆さんに味わっていただきたい」そのように強く思う私です。

 私の住む福井県若狭地域は、リアス海岸の続く若狭湾と、5つの異なる水質・深さからなる三方五湖が位置し、古から「水面」はいろいろな分野で移動手段として活用されてきました。それは「農業」「漁業」「運搬」。縄文時代には「丸木舟」を活用し、湖を移動することで食生活を豊にしてきたのです。道が整備される前は、お嫁さんですら船で家へ嫁いでいたのです。このように、昔からこの地域とは切り離すことのできない水面を活用した移動手段が、昨今の自動車社会により忘れられかけてきたのです。湖畔に生まれ住んでいた私ですらその一人だったのです。

 そのような私が、ひょんな事からカヤックと出会ったのは18年前。滋賀県在住のカヤッカーとの話の中から半ば強引に連れられて体験したことがきっかけでした。この地域に生まれ育った私にとって、カヤックで見ることの出来る風景は、どこも想像がつくものだと高を括っていたのです。しかし実際には私の想像を遥かに上回る景色が目の前に広がったのです。湖面から眺める湖岸風景、浦見川の断崖絶壁、湖面に跳ねる魚たち。そして、若狭湾では、リアス海岸に点在するプライベートビーチ、岩のトンネル、透明度抜群の海中…。今までの私の経験・認識の甘さ・鈍さを思い知らされました。

 現在では私の人生には無くてはならないモノとしてカヤックは存在しています。私と同じ感動を味わってもらいたい!と「あそぼーや」でも、県内外からの来訪者を対象にカヤックツアーを催しています。春秋は湖面から桜や紅葉を楽しむ「三方五湖カヤックツアー」、夏はリアス式海岸の素敵な風景が楽しめる「若狭湾カヤックツアー」、年間を通じては満月・新月を楽しむ「ナイトカヤックツアー」を開催。これまでたくさんの方に参加していただきました。「若狭湾は透明度も高く、手付かずの自然が残ってて、南の島へ行かなくても十分満足です!今までの夏は何だったんだ・・・」「自由気ままにゆったりと進むスピードが心地よい」「波に揺られ、冒険気分も味わえた」「時間に縛られている毎日から開放されて幸せだった」…などたくさんの笑顔をもらうことができました。

 今までは、当り前に存在していた「三方五湖」「若狭湾」が、来訪者のみなさんにとってはとても価値のあるモノ(サービス)として日の目を浴び、その地域の一つの生業として存在しているのです。またその行動により、住民はもちろんの事、参加者においても、「自然の有り難さ・必要さ・尊さ」を強く感じることの出来る活動となっている事に、とても喜びを感じています。

 まだまだ書き表すことの出来ない自然がたっぷり存在する若狭地域の自然を今後もじっくりご紹介させていただきたいと考えていますの、楽しみにお待ち下さい! 今以上に今後もまだまだ知らない若狭地域の自然を発見し、発信していきたいと考えていますので、どうぞよろしくお願いいたします。 

(「自然に大の字 あそぼーや」代表 田辺一彦=福井県若狭町)

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