【MLB】懐かしの「ビッグフライ!」 日本を沸かせた元名物実況が語る大谷翔平への期待

長きにわたりエンゼルス戦の実況を務めたビクター・ロハス氏【写真:盆子原浩二】

昨季まで実況のビクター・ロハス氏にインタビュー「最高記録に挑戦できるかも」

オオタニさんに夢の60号到達を期待します――。エンゼルスの元名物実況、ビクター・ロハスさんがFull-Count編集部のインタビューに応じた。大谷翔平投手が本塁打を放った際の「ビッグフライ! オオタニさん!」の名台詞で、日本のファンにも親しまれてきた。ここまで大谷は両リーグ最多37本塁打を放ち、両リーグ2位の81打点。打撃2冠王争いを繰り広げる大谷へ愛の溢れるメッセージを送った。

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豪快弾をかっ飛ばし続けるオオタニさんへ――。元名物実況のロハス氏の“オオタニさん愛”は不変だった。今もエンゼルスの試合や動向をチェック。「今年はショウヘイやウォルシュがどんどん成長している姿を見るのは楽しい」と声を弾ませ、まずは打者・大谷を高く評価した。

「昨年よりもアプローチの仕方に自信があると思います。正直、昨年は打席では打撃を見失っているように感じました……。故障明けでコロナの影響が重なったことが原因かもしれません。そういうことがあったからこそ、今年はより特別なシーズンになっているんだと私は思います」

「ショウヘイはとにかく才能のある選手です。100%の状態で見せる実力がどれほどのモノかを今披露しています。それは疑いようがありません」

この日の本拠地・ロッキーズ戦では4回に2試合連発となる弾丸37号3ラン。シーズン59発ペース。60本塁打ならベーブ・ルースが1927年に記録したシーズン自己最多本塁打に並ぶ。ア・リーグ記録は1961年にロジャー・マリスがマークした61本塁打。ロハス氏は到達可能と見ているようだ。

「このペースで打ち続ければ、最高記録に挑戦できるかもしれません。現在の本数で何が素晴らしいかというと、トラウト抜きで打ち続けているということです。トラウトが復帰すれば、対戦相手は究極の選択を迫られます。オオタニさんは本塁打王になれると、私はもちろん思っています。疑う余地はありません。文句なしでMVPです」

今年もエンゼルス実況だったら…「間違いなく声を潰していたでしょうね」

ロハス氏は2010年から米放送局「FOXスポーツウエスト」のエンゼルス戦の実況を務めてきたが、昨季限りで引退。今季からレンジャーズ傘下2Aフリスコの球団社長兼GMに転身した。たまに実況アナウンサー時代を振り返ることがあるようだ。

「今年も実況を続けていたら、『ビッグフライ、オオタニさん!』で間違いなく声を潰していたでしょうね。本塁打を打つ度にテンションはどんどん上がっていたでしょう」

先発投手としても高く評価している。今季は15試合登板し、5勝1敗、防御率3.04。80イニングを投げて100三振を奪っている。「先発1番手の力があることをショウヘイは示しました。体に問題がないことで、二刀流の才能を我々は目撃できているのです」。

現在、ロハス氏はマイナー球団を運営する立場となった。直接、選手を育成する立場ではないものの、「ショウヘイが成功したことで球界の至るところで二刀流選手を調査したり、獲得を検討するようになり始めたと思っています」という。最後に二刀流・大谷へ大きな期待を口にした。

「我々はショウヘイの本当の実力を目にし始めたばかりだと本気で思っています。これから成功を続け、どんどん自信が増えていくことを期待しています」

8月2日(同3日)から米テキサス州アーリントンで行われるレンジャーズ-エンゼルス戦の視察も検討しているという。今もロハス氏は熱い視線を注いでいる。(小谷真弥 / Masaya Kotani)

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