地域挙げ希少種守る GPS使い外来種の情報収集 沖縄北部3村の取り組み〈沖縄・奄美 世界自然遺産登録特集〉

 豊かな自然と共に、人々の暮らしも営まれる。人間活動のさまざまな影響から自然を守ろうとする地域の取り組みを紹介する。登録後は地元だけではなく県内外の人々も、この「宝」を守る行動が求められる。
 
 国頭村、大宜味村、東村ではやんばるの森を保全し活用するため、地域住民が主体となって希少な動植物を守ってきた。若い世代の取り組みも始まっている。
 国頭村安田区は2002年、希少動物を捕食するネコにマイクロチップの埋め込みなどを義務付けた規則を全国に先駆けて制定した。どうぶつたちの病院沖縄と協力し、事故に遭ったヤンバルクイナを保護する救急救命センターを設置するなど、地域を挙げて希少動物を守ってきた。
 3村の住民らが密猟や盗掘を防ぐためパトロールし、衛星利用測位システム(GPS)を使い外来種の情報収集も続けている。
 辺土名高校(大宜味村)は身近な自然を生かした体験型学習を取り入れる。生徒は野ネコのふんを分析するなど生物調査や特定外来生物の駆除などに参加し、「やんばるの森を守りたい」と意識は高い。
▼山の奥に眠る共生の跡 やんばる〈ルポ〉選定地域を歩く
▼入域客を抑制し環境負荷の軽減図る 竹富町西表島の取り組み
▼山と海が一体となり豊かさ育む西表島〈ルポ〉選定地域を歩く
▼協力金創設し保全に活用 93年遺産登録・屋久島の教訓 環境保護で続く模索
▼夜明けに響く命の合唱 奄美大島〈ルポ〉選定地域を歩く
▼隣り合う暮らしと自然 徳之島〈ルポ〉選定地域を歩く
▼「人類共通の宝」としての自然や文化 ユネスコの世界自然遺産
▼琉球弧の恵み共有 暮らし自然一体 <沖縄・奄美つなぐオンラインシンポジウム>

© 株式会社琉球新報社