長崎大 感染症研究「BSL4」竣工 研究目的は国内初 来年度試験稼働

30日に竣工するBSL4(中央の建物)=長崎市、長崎大坂本キャンパス

 エボラ出血熱など危険な病原体を扱う感染症研究施設「バイオセーフティーレベル(BSL)4」が30日、長崎市坂本1丁目の長崎大坂本キャンパスに竣工(しゅんこう)する。研究目的のBSL4としては国内初。来年度から危険度の低いウイルスを使った試験稼働に入り、厚生労働大臣の指定を受けた後に本格稼働する。
 BSLは世界保健機関(WHO)が定めるウイルスや細菌などを扱う施設の基準で、「4」はリスクが最も高い。有効な治療法がなく、致死率が高い病原体に対応できる。国内には国立感染症研究所村山庁舎(東京都武蔵村山市)にBSL4があるが、診断や治療などの業務に特化し、研究目的では使用されていない。
 国内の感染症研究をリードしてきた同大が「対策強化の国策」として建設。東京大など国内主要8大学も共同使用する。
 同大によると、完成したのは実験棟で、鉄筋コンクリート5階建て約5200平方メートル。高さ約43メートル。免震構造で、自然災害対応の非常用電源装置を備える。建設費は約75億円。実験室内で研究者は防護服を着用し、動物を使った実験も行う。新型コロナウイルスも含めた病原体の発症メカニズムの解明やワクチン・薬の開発を目指す。
 同大の河野茂学長らは29日、記者会見を開き、「コロナ禍で大きな期待が寄せられている。さまざまな感染症対策に貢献したい」と強調。安全性については「地域住民や市民の声を聴きながら、世界最高水準の安全性を持つ研究施設の整備を確実に進める」と述べた。

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